驚愕の新説「重曹でがんが治る」の真偽は? 実は重曹よりアレの方がからだにいい?【おかしな科学】

世のニセ科学をぶった切る、疑似科学バスターのロッポンギヒロユキが世間のウソを見破ります。

ロッポンギ ヒロユキ| Photo by Getty Images|シリーズ:おかしな科学

スポンサーリンク

「がんはカンジダ感染症である!」

重曹
ベーキングパウダーの主成分である重曹。かといって重曹のみ摂り過ぎはいかがなものなんでしょうか
【写真:Getty Images】

 ところでこのマンチーニ理論が話題を集めたのは、「重曹でがんが治る」というお手軽健康法ノリの治療法だけではありません。とにかくブッ飛んで……いや、オリジナリティが高いのががんの原因説。マンチーニ“元”医師によれば、がんはカンジダの感染が原因で起こるのだというところです。

 カンジダといわゆる酵母の一種で、ヒトの皮膚や粘膜にも常在する真菌のこと。体調が悪いと日和見感染を引き起こすこともあり、中でも有名なのはカンジダ膣炎(性器カンジダ症)でしょう。

 女性がこれにかかるとカッテージチーズ状のオリモノが出たりしますし、性交渉で男性にうつってしまうこともあるので、膣の病気だからといって男性も無関係ではいられません。

 モンチーニ“元”医師によれば、これがすべてのがんのこのカンジダが原因だというわけです。

 なぜそんな大胆な説が生まれたかと言えば、「がん細胞は白い、カンジダも白い、ゆえにがんはカンジダだ!」という見事な三段論法による推論の結果とのこと。大胆すぎて、開いた口がふさがりません(がん細胞は白いと決まったわけじゃありませんし)。

 そして「がん細胞は酸性の環境が好き、酸性はアルカリ性で中和される、ゆえに弱アルカリ性の重曹でがんは退治できる!」というさらに大胆な展開があったのでしょう。

 こうして重曹ががん細胞を中和する(?)というシモンチーニ療法は完成したのでした。

 重曹は炭酸水素ナトリウムという化学物質で、胃腸の酸を抑える医薬品としても使われています。ベーキングパウダーの主成分なので副作用もあまりないでしょう。

 とはいえ、量が過ぎれば副作用も出るだろうし、腎臓や心肺機能に障害のある人は症状が悪化するおそれもあるわけなんですが、そのあたりはほとんど顧みていないようです。

1 2 3
俳句

PAGE TOP ↑