『花粉症はお腹の虫が治す』都市伝説の真相は?
花粉症の原因は、スギ花粉や中国の大気汚染などさまざまに言われるが、環境が清潔になって回虫がいなくなった結果だという説がある。
スポンサーリンク寄生虫駆除の免疫が花粉で発動?
回虫でなぜ花粉症が治るのか? 国立公衆衛生院微生物学部長(当時)の井上栄氏や東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏らが提唱したこの説、メカニズムはこうだ。
回虫やギョウチュウが体内に入ると、人体はそれを排除するために、肥満細胞内に蓄えられているヒスタミンなどの化学物質を放出させる。
寄生虫を体外に排出するように血管を拡張させたり、炎症を起こす。
この仕組みがまるで花粉症と同じなのだ。
花粉症は花粉が抗原となり、花粉がとりついた鼻粘膜の肥満細胞からヒスタミンなどが放出される病気だ。
ヒスタミンによって粘膜が炎症を起こし、鼻水やくしゃみ、涙などで体外に花粉を押し出そうとする。
70年代から日本人の寄生虫感染率は劇的に低下したが、対寄生虫用の免疫機構はそのまま生きている。
そこにスギ花粉などが入ったために花粉症が起きたというのだ。
寄生虫が体内にいると、寄生虫を抗原とした免疫グロブリンE抗体が鼻粘膜の肥満細胞に結合する。
そのため、花粉が鼻粘膜の細胞と結合できず、花粉症にならないらしい。
いかにも説得力がある回虫駆除説だが、追試のデータはあまり芳しくない。
三好耳鼻咽喉科クリニックの三好彰院長が日中の小中学生を対象に、花粉症と寄生虫感染の関係について調査したところ、関係が見られなかったという。
寄生虫は花粉症を抑制しないのか? 寄生虫駆除が花粉症の原因というのはトンデモ科学なのか?
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