【あぶない科学実験】頭を燃やせ! 手を燃やせ! 携帯用トイレで燃える人体!

スタントマンが火だるまになっても平気なのは、高分子ポリマーにたっぷり水を含ませて体に塗りたくっているから。それ、オムツとかのやつじゃね?

川口友万| Photo by Masahiko Taniguchi,Hebizo|シリーズ:あぶない科学実験

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時は来た! さあ、火だるまになろう!

燃える
『決してマネしないでください。(1)』(蛇蔵/講談社 税込605円)。
公式サイトhttp://morning.moae.jp/lineup/380

『決してマネしないでください。』(蛇蔵/講談社)の一発目の実験ネタは、頭に火を着けるという、誰もマネしたくないものだった。

 ボーボー燃える毛糸の帽子をかぶった男が、「炎は重力のあるところでは上へ行くので顔熱くないんですよ」とか言うのだ。重力の問題か?

 熱くない原理は簡単だ。オムツなんかに使われている、高分子吸水ポリマーを使う。

 正式名称はポリアクリル酸ナトリウム。網目状の分子構造を持ち、その網に水を捕えて離さない。自重の100~1000倍もの水を吸収、ゲル化する。

 ゲル化したポリマーは水でびしょびしょの布団みたいなものだ。だからその上にライターオイルを撒いて火を着けても、水の気化熱が勝って、炎の熱はポリマー層を通過しない。燃え上がるスタントマンは、服の内側にたっぷりポリマーを塗っているのだ。

燃える
高分子吸水ポリマーを使っている製品は冷えピタから園芸用品まで幅広いが、一番安くて使いやすいのが100円ショップの携帯トイレ
【撮影:谷口雅彦】

 こういう原理が簡単なものに限って、失敗すると大変なことになる。最初にフグを食べた人ではないが、コツを知らないと踏み出せない種類の実験だ。

 火だるまには興味があった。自主映画に『炎のランナー』という、タイトルの後に火だるまの人が走って出てくるだけの超短編があって、爆笑した。そして素人でも火だるまになれるんだと感動したのだ。

 こんな機会でもないと、腰の重い私はやらないだろう。一生、火だるまを知らないまま、死んでしまう。そんなのはイヤだ。作者の蛇蔵先生に聞いてみた。

燃える
袋の中にはポリアクリル酸ナトリウム。試薬で買うとやたらに高いが、これなら100円単位だ
【撮影:谷口雅彦】

 それで、へびさん、これやったの?

「やるわけないじゃないですか」

 ふーん……やってもいい?

「決してマネしないでくださいって、タイトルにも書いてますよ、私」

 でも見たくない?

「……それは見たい」

 じゃあ、やろう。一度やってみたかったんだ、火だるま。最悪でも頭が燃えるぐらいだし。

「大丈夫ですか……頭?」

 消火器も用意し……大丈夫って、それはダブルミーニングってやつ?

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