【あぶない科学実験】頭を燃やせ! 手を燃やせ! 携帯用トイレで燃える人体!

スタントマンが火だるまになっても平気なのは、高分子ポリマーにたっぷり水を含ませて体に塗りたくっているから。それ、オムツとかのやつじゃね?

川口友万| Photo by Masahiko Taniguchi,Hebizo|シリーズ:あぶない科学実験

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中年男女の燃える実験スタート

燃える
水を入れて、ゲル化させたポリマー
【撮影:谷口雅彦】

 どこで実験すればいいのか?

 さすがに室内でやるのはマズい。以前、文化財に指定されたばかりのビルでトラブルを起こした。撮影室で粉じん爆発の実験をしていたら、ちょっとした手違いで大爆発が起きてしまったのだ。

 天井まで火柱が上がり、あまりの爆発に大笑いしていたら、遅れて火災報知機が大音量で鳴り響いた。

 ビルが建ってから60年目にして、初めて火災報知器が鳴ったらしい。

 警備部やら総務部やらが飛んできて、鼻が垂れるほど怒られた。とばっちりで、同じフロアの社員も全員が怒られ、モヒカンだった男の子は翌日丸坊主で出社してきた。すまん、モヒカン。

燃える
ダミー腕にベタベタと塗りつけて、オイルをかける
【撮影:谷口雅彦】

 そういうわけで、カメラや編集者や野次馬の10人近い中年男女は、寒風吹き荒ぶ河原に集合。不惑を超えた連中が、平日の昼間から火だるま人間でキャッキャッしたいって、ちょっとはチベットのことも考えた方がいい。

「釣りしてる人がいる」

 誰かがそう言って、息をひそめる。そりゃ川だし、釣りもするさ。コソコソ隠れても無駄だから。

 水を入れたポリマーがゲル化したところで、私はプラスチックの腕を取り出した。『ゴムの手のイリュージョン』という、幽体離脱の実験の時に作ったダミー腕だ。まずはこれが最初の犠牲者。

燃える
ファイヤー! ……安心してください、ダミーですよ
【撮影:谷口雅彦】

 プラスチックの腕にポリマーをベタベタと塗る。ところが塗っても塗っても、だらだら落ちる。

 なるほど、服の下にポリマーを仕込むのは、これも理由だな。全然、粘着力がないんだ。

 なんとかポリマーがくっついているうちにと、急いでオイルをかけて火を着けた。

 燃え上がるダミー腕に、おおっ! とどよめくギャラリー。

 水に突っ込み、火の消えたダミー腕をチェックする。よし、大丈夫そうだな。

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