警備員も失業? ウーバーが「雇う」警備ロボットとは

人はロボットに置き換えられるのか。配車サービスで話題のウーバーが、自社の駐車場のパトロールにロボットを採用した。

岡真由美| Photo by Knightscope, Inc.

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警備
不眠不休も可能だ【写真:Knightscope, Inc.】

 ウーバーが導入した警備ロボットを開発・製造したのは、米・シリコンバレーの新興企業ナイトスコープ社だ。

 同社は現在、駐車場など屋外向けの重量300ポンド高さ5フィート幅3フィートの「K5」と、屋内パトロール向けの高さ4フィート幅2フィートとやや小型な「K3」の、2サイズのセキュリティロボットを開発、提供している。

 K3とK5はいわゆる自律走行型ロボットで、遠隔操作はされていない。ナイトスコープは同ロボットを「自立型データマシン(Autonomous Data Machines、ADM)」と呼んでいる。

 複数のセンサーによって人や障害物を回避しつつ、レーザーナビゲーションで自分の位置を把握しながらパトロールを行なう。またカメラで周囲の様子を撮影し、不審者がいないかどうかをチェックする。熱センサーによって放火や火の不始末も探知できる。

 センサーやカメラで収集したデータはナイトスコープ・セキュリティ・オペレーションズ・センター(KSOC)に送られ、リアルタイムでデータの解析が行われる。

 不審な車が長時間駐車したままになっている、不審者がいるなど問題が見つかった場合、クライアントに即座に警告が送られる。またクライアントはロボットがカメラで撮影している動画を、パソコンやスマートフォンでストリーミング視聴することも可能だ。

 ロボットは2台1組で貸し出され、1台が充電している間にもう1台がパトロールをおこなう。レンタル費は1時間7ドルと、カリフォルニア州の最低賃金である時給10ドルよりも安い。

 いわゆる「武器」といえるものは装備していないが、重量を300ポンド(約136キロ)にすることで簡単に盗まれないようにした。また誰かが一方のロボットに危害を加えると、もう一方が即座に通報する。ロボットの表面は、落書きがしにくい仕上げになっているという。

 モバイル通信企業のクアルコムや、カリフォルニア州パロアルトのスタンフォード・ショッピング・センターなど、複数の企業やショッピングセンターがK5やK3を警備に利用しているという。

 ナイトスコープ社は7月には大手警備会社ユニバーサル・プロテクション・サービスと提携、同社経由で警備ロボットを提供すると発表している。

 ロボットを警備に活用しているのはアメリカだけではない。

 日本の警備会セコムとアルソックも警備ロボットを提供中だ。セコムの「セコムロボットX」はリモコンなどでの遠隔操作またはガイド線走行による自動走行で、ナイトスコープのロボットのような自律走行型ではない。

 アルソックの「リボーグX」は、施設内の地図をロボットに記憶させておくことで、自律走行を実現している。

 1年365日、1日24時間働くことができるロボット。特に夜間など人間だと安全性が心配される場合でも、安心して警備が任せられる。近い将来、警備はロボットの仕事になるかも知れない。


動画:Data is Never Big Enough Knightscope, Inc.

取材・文 岡 真由美

【了】

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