大切なのは足の数 虫の足音で演奏するバイオアートで新感覚の体験

虫たちが奏でるリズムやビートに耳をすませば、森の中へと誘ってくれる。自身が昆虫になったような不思議体験を味わおう。

石水典子| Photo by Noriko Ishimizu

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虫の足音を聞いているうちに、歩き方の癖や足の数が分かるんです

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『Bug’s Beat(バグズ・ビート)』恵比寿映像祭で展示された3種類の虫の1種、コクワガタ【撮影:石水典子】

『Bug’s Beat(バグズ・ビート)』は、虫の足音をマイクで拾って大きな音で出力し、組み合わせることでビートを奏で、音楽のように聞かせるバイオアートだ。

 音量が違うことで脳が錯覚、虫や自分の身体の縮尺が変わったように感じるという。

 手がけたのは、メディアアーティストのDORITA(ドリタ)さんと佐々木有美さん。

 第18回メディア芸術祭で新人賞を受賞した、スライムを触ると音が出る『スライム・シンセサイザー』に携わったメンバーの内の2人だ。

『Bug’s Beat』は第8回恵比寿映像祭(開催は2016年2月11日(木・祝)から20日(日)まで)で初公開された。

 作品について2人に話を聞きに行ってきた。それにしても展示に虫が並ぶのは、なんとも不思議な感じだ。

「今回歩き回る習性のゴミムシダマシを入れています。虫が止まってしまうとリズムにならないので、常に動き回ってくれる虫を選んでいます」(DORITAさん)

 展示されていたポッドは3つ。それぞれのオンオフのタイミングや、3拍子、4拍子などのリズムをプログラミングしていて、音楽のようなビートに変換している。

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『Bug’s Beat』恵比寿映像祭に展示されていた虫の一つ、オカダンゴムシ【撮影:石水典子】

「重要なのは、足の数です。昆虫は6本、ダンゴムシは14本。クワガタの足は6本ですが、足の着き方が2本と1本で違います。そのリズムやビートを実際に聞きながら、虫を組み合わせていきます」(佐々木さん)

 虫の足の本数に関心を持たずに過ごしてきたが、本数でビートが違ったとは……。虫の足音は聞こえないくらい小さい。そこで虫に直接ピエゾマイク(もしくは振動マイク)の上を歩かせて、音を電気信号に変換し出力する。

 だがマイクの感度を上げないと足音を拾えないため、激しいハウリングが避けられない。制作はハウリングとの戦いだったそうだ。

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