大切なのは足の数 虫の足音で演奏するバイオアートで新感覚の体験

虫たちが奏でるリズムやビートに耳をすませば、森の中へと誘ってくれる。自身が昆虫になったような不思議体験を味わおう。

石水典子| Photo by Noriko Ishimizu

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ハウリング問題に悩まされ続け、開催2日前にめでたく完成

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演者の虫を確認する、DORITAさんと佐々木さん【撮影:石水典子】

 虫の足音を音楽に変えるという初めての試みに、いろいろな専門分野の先生にアドバイスを受けながら、開催2日前まで試行錯誤が続いていた。

 たとえば虫が入ったポッドは白くかわいらしい見た目だが、台の重さが15キロ以上ある。

「台が揺れてしまうとマイクが音を拾ってしまうため、重さが必要でした。また音響対策のために、マイクの下には耐震パッドを入れ、台の中に硬さの違う2種類のゴムを仕込んでいます」(佐々木さん)

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(画像04:DORITAさん(左)と佐々木さん(右))【撮影:石水典子】

 努力の甲斐もあり展覧会当日、虫たちはちゃんと演奏してくれた。鑑賞した人に「虫の大きさが変わった感じは、ちょっとコワイ」という感想も聞けて、「ほめ言葉だよね」と顔を見合わせる二人。作品が形になり、ほっとしたそうだ。

今後の展開は?

「見る人自身が虫を捕まえて音を奏でられる展示ができたらと思います。冬だと虫の確保が難しいので、夏がいいですね」(DORITAさん)

 虫を捕まえるのに子どもも大人もはしゃぎそうである。

 虫は2時間で交代するシフト制。佐々木さんいわく「展示中、虫は1匹も死なせない!」そうだ。

 作品に近づき目をこらしながら足音を聞いているうちに、虫の世界に入り込む。子どもの頃のワクワク感を思い出す体験だ。

DORITAさん公式HP:http://doritab.com/
佐々木有美さん公式HP:https://yumisasaki.wordpress.com/

取材・文 石水 典子

【了】

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