超微細な地球外生命体を「ホログラム」で記録! ~NASAの新たな試み~
目には見えない微細な地球外生命体の姿を、「ホログラム」として記録する試みに、NASAが取り組んでいる。
スポンサーリンク地球外生命体というと、SF映画に出てくるような、われわれ人間によく似た「宇宙人」をイメージしてしまいがちだ。
しかし米航空宇宙局(NASA)の研究者たちが真剣に探し、また「見つかる」と確証しているのは、もっとシンプルな生物である微生物だ。
実は太陽系内には、生命が存在する可能性のある「水」を持つ衛星や準惑星が、いくつもあることが明らかになっている。
特に近年注目されているのが、木星の衛星であるガニメデ、エウロパ、カリスト、そして土星の衛星エンケラドゥス、タイタンだ。
なかでもエウロパとエンケラドゥスには、生物を育む可能性のある塩の海が液体の状態で存在し、その表面を氷の地殻が覆っていると、NASAの研究者たちは考えている。
しかもエウロパには、地球の2倍の水が存在する可能性があるという。
参照元:『Alien Ocean:NASA’s Mission to Europa』 You Tube
そこで登場するのが、デジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)だ。
Space.comの1月22日の記事によれば、NASAの科学者らはDHMを利用して、グリーンランドの氷の海において、微生物の姿をとらえることに成功したという。
この成功により、同じように氷の海に閉ざされた太陽系の衛星においても、微生物の姿をとらえられる可能性があるというのだ。
デジタルホログラフィーとは簡単にいってしまうと、CCDやCMOSなどの電子的な撮像素子で撮影したデジタルデータの干渉縞画像をホログラムとして取り込み、このホログラムから物体の像をコンピューターで再生する技術である。
デジタルホログラフィック顕微鏡では、微生物の3次元形状を測定、再生することができる。
NASAはすでに、エウロパに探査機を飛ばして調査を行う「エウロパ・ミッション」を立ち上げており、2020年代初めには探査機を送る計画だ。
木星の重力を利用して、周期的に近づいたり離れたりを繰り返すフライバイを約3年かけて45回行い(エウロパから25キロから2700キロの距離を近づいたり離れたりする)、表面の観測を行うとしている。
Space.comによればNASAはこのミッションのために携帯するツールのひとつとして、DHMも検討しているという。
エウロパの氷の海に生息する生命体がコンピューターで再生され、実際に見ることができる、かもしれない。
取材・文 岡 真由美
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