脳のケガをヘッドセットとスマフォで調べる アプリを使って10分で診断

何でもスマフォの時代。米ブレインスコープ社が開発しているのは、CTスキャンでも発見が難しい外傷性脳損傷や脳震とうを見つける新しいツールだ。

岡真由美| Photo by BrainScope

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 アメリカンフットボールやラグビー、サッカーなどの激しいスポーツでは、選手たちが脳震とうを起こすケースが多い。

 脳震とうとは、スポーツなどで頭部を強打した直後に一時的に意識が朦朧とした状態で、脳に後遺症をもたらすケースが少なくない。

 そのひとつが慢性外傷性脳症(CTE)という脳震とうを原因とした脳の疾患であり、ボクサーに多いことから以前はパンチドランカーと呼ばれていた。

 脳震とうがCTEの原因だとアメリカで知られるようになったのは、2000年代後半のことである。CTEの症状としては、頭痛、気分の落ち込みや自殺衝動、攻撃的な行動などが報告されている。

 ボストン大学医学部のアン・マッキー教授らが今年1月に全米プロフットボールリーグ(NFL)の元選手、大学チームの元フットボール選手の脳を検査したところ、驚くことに元NFL選手の92人中88人、元大学生選手の55人中45人にCTEがあることがわかったのである。

 NFLはこの3年間、首や頭部のケガを防止するために、様々なルール改訂を行ってきた。現在ではほぼすべての州が、公立校での練習における「激しい接触」を制限する法律を設けているほどだ。

 しかしこうした軽度な外傷性脳損傷や脳震とうは、CTスキャンでも発見が難しい。そして脳震とうを起こしたあとしばらくは、再び脳にダメージを受けるリスクが格段に高くなる。

 たとえ軽い脳震とうでも知らずに放置すると、2度目の脳震とうで長期に及ぶダメージを負う可能性が高まるため、非常に危険なのだ。

 米ブレインスコープ社は、使い捨てのセンサー付きヘッドセットで脳波を記録、スマートフォンのアプリで解析して、外傷性脳損傷や脳震とうが起きていないか診断できる技術を開発した。

 これまでに2製品が開発され、わずか10分足らずで診断は完了する。現在、第3世代の製品が開発中で、米国防総省から2,700万ドル以上の研究開発費を提供されているほか、ジェネラル・エレクトリック(GE)、NFL、ベンチャーキャピタルや個人投資家から資金援助を受けている。

 このヘッドセットが実用化されれば、脳震とうの有無を即座に判別し、後々深刻な後遺症に悩むスポーツ選手が確実に減るだろう。

取材・文 岡 真由美

【了】

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