文章のグレード分析で判明! スピーチレベルの低さに隠されたトランプの巧みな戦略的演説
米大統領選での過激すぎる発言ですぐに戦線離脱するであろうと思われたドナルド・トランプ。しかし彼の快進撃は止まらない。
スポンサーリンク「届く」スピーチが鍵! ヒラリーとトランプの共通点
昨年の10月には米・ボストングローブ紙の調査でトランプのスピーチが小学4年生レベルと発表され注目されたが、文法的にくだけた口語体のスピーチ分析には『REAP』のほうが適しているという。
この方法で分析すると候補者の中で最もレベルが低かったのがトランプのスピーチだった。語彙のグレードは約7.4で中学1年レベル。最も高い民主党候補者のサンダースのスピーチは10を超える。
トランプの文法グレードは約5.8で小学6年レベルにまで届かない。他の候補者たちの文法グレードは6.9から7.5で中学生レベルだった。
レベルが低いとはいえ分析で明らかになったのは、トランプのスピーチが聴衆や会場に合わせて文法グレードを大きく変えていたこと。同様に言葉を入れ替え、語彙のグレードを大きく変えていたのが民主党の最有力候補であるヒラリーだった。
この研究を行ったカーネギーメロン大学のエリオット・シューマッカーはこの2人がスピーチに力を注いでいるのだろうと同大のWebサイトで述べている
2人のスピーチに共通する点はこれだけではない。調べると聴衆や会場に合わせて語彙や文法を変える一方で、立候補演説の語彙レベルはともにグレード8と最も低くなる。
文法はトランプ氏のグレード5が最も低く、そこに続くのがヒラリーの7だった。この2人は届くスピーチを強く意識しているのだろう。
ちなみに、過去の大統領を含めると語彙グレードが最も高いのが元大統領のレーガンで低いのがトランプ、文法グレードはリンカーンがずば抜けて高かったが、最も低いのはジョージ・W・ブッシュだった(ただしボキャブラリーのグレードは高い)。
過激な発言ばかりが注目されるトランプだが、そのスピーチには巧みな「戦略」が隠れているのかもしれない。
なぜなら予備選挙や党員集会が近づくにつれて、どの候補者のスピーチも語彙と文法のグレードが共に低くなる傾向にあるが、トランプのスピーチだけは昨年末から今年の3月までの期間に文法のグレードが4から8の中で激しく変動していたのだ。
トランプは共和党の大統領候補になれるのか。現在は、代議員の過半数を獲得して共和党の候補として指名されるか、それとも党大会での決選投票までもつれ込むのかに関心が集まっている。
今後もトランプはどのように米国民に話しかけるのか、そのスピーチから目が離せないのは間違いない。
取材・文 山下 祐司
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