VERBAL、中川悠介、川田十夢がエンタメビジネスの未来を予見 テクノロジーで表現は拡張する
CDが売れなくなった音楽業界。テクノロジーは音楽を救い、未来のビジネスモデルを提示できるか。
スポンサーリンク日本ならではのテクノロジー表現は可能か?
「川田さんはAR技術で新しい体験を作る側ですよね。最近の活動で音楽的な新しい表現をされたことはありますか?」(VERBAL)
「昨年、六本木ヒルズの屋上の窓にプロジェクション・マッピングしたプロジェクトがあります。
東京は2等星しか見えないし普通なら位置も動かせませんが、明るさや別の場所の星が見えるコンテンツを作りました。
このコンテンツは、窓をジュークボックスにして、来場者の方が好きな曲をかけることもできます」(川田)
「ARでできる日本ならではの表現とは、どのようなものでしょうか?」(VERBAL)
「海外と同じことをしても勝てません。今ミシンで縫った刺繍に、オリジナルの音声を記録できる仕組みを作っています。
世界で一つの声紋が刺繍の模様にプリンティングされて読み取れる、というものです。日本は日本で変なものをどんどん作っていけばいいんじゃないでしょうか」(川田)
川田氏はフェスで感じたことから、海外と日本の違いについてこう指摘した。
「海外ではミュージシャンだけでなく、フェスの空間演出を行ったエンジニアやクリエイターも評価される土壌があります。
例えば英国出身のロックバンドColdplay (コールドプレイ)は、コンサート会場で観客にLEDリストバンドを配り、曲に合わせて点滅させる演出をして話題になりました。
この時リストバンドを開発したイギリスのRBconcepts社も、注目の対象になった。日本でも、いいものがそのまま評価される文化が作られるといいと思います」(川田)
デジタル音楽ビジネスが流通した今、CDセールスに固執せず、さまざまな場で音楽のビジネスポイントを見出すことが求められている。
最後に「これからの音楽業界は明るいですか?」と問いかけると、二人とも「明るい」と明言した。
VERBAL氏の「みんな音楽が好き。どんな時代でも音楽は無くならない」という、人のエモーショナルな部分に訴えられる、音楽の力を疑わない姿勢が印象的だった。
取材・文 石水 典子
【了】