【食べる科学実験】酒のガスで酔っ払う?! イカレた酒飲み術に挑戦

酒を気化させて、アルコールガスを吸って酔うというのが欧米人の間で流行っているらしい。どういうものか、やってみた。

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi|シリーズ:食べる科学実験

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一気に酔っ払う、変な体験

酒
フラスコにドライアイスを詰めたら、酒をフラスコに注ぐ
【写真:川口友万】

 まずはドライアイス。最近はスーパーでドライアイスが無料か数十円で買える。持って帰ってきたドライアイスを三角フラスコへ。ここまでは普通だ。

 活栓付安全ロート(初めて名前を知りましたよ)にウォッカを入れ、あとは栓を開けるだけ。簡単だ。

 何も考えずに栓を全開したら、ブシュー! 猛烈な勢いで白いガスが噴き出した。

 (急いで口で吸え!)

 何も考えずにガスの噴き出すガラス管をくわえた。この一瞬の判断は、昔、ずっと聞いていたスネークマンショーの呪いに違いない。

酒
栓を開けると、白いガスが噴き出す。二酸化炭素とアルコールのガスだ

酒
なんじゃこりゃあ! 恐ろしい勢いで肺に侵入したアルコールに、血管がいきなり開いた
【写真:川口友万】

 ゲハゲボ%&$$$!!!

 吸い込んだ瞬間、一気に全身の血管が開いた。なんじゃこりゃあ! 殺す気か!

 アルコール、容赦なさすぎ。ビックリした。これはこういう一気飲みをするものではないんだな。一気飲みは体に悪いが、アルコールガスの一気飲みは生命に関わるな。

 頭皮まで血管が開き、酔っ払うというか、ひどい。脳神経を凌辱された。

 瞬間的に酔っ払ったので、酔いがヘンだ。クラクラしながら改めて酒を入れる。今度はたらりたらりとアルコールをドライアイスに垂らす。

 ああ、これだ。

 吹き出すのではなく、フラスコの中でたゆる煙を吸い込むのだ。優美じゃないか。オシャレじゃないか。しかし酔うというか、酔うんだけど、何だろう、この違和感。全然、楽しくないんだけど。

 私には酒とは基本的に食中酒であって、酒の味と食べ物の味のマッチング、通ぶって言うとマリアージュが好きなのだ。しかしこのアルコールガスに何が合うのか? あえて言えば、キャンディ? 

 味がないのだ。当たり前だが、純然たるアルコールガス、もちろん酒のフレーバーはあるが、味はない。

 だからダイエットなのか。酔っ払うけど、別に何か食べたいという欲求がない。お酒を飲むとバカ食いするが、あれは肝臓が分解のエネルギーを欲しがるためだと思っていた。でも本当は味に対する欲求の方が大きいのかもしれない。

 とはいえ、これはこれである。酒ではなく酔っ払うという一点で見れば、こんな急速に酔っ払うやり方は前代未聞。

 細い瓶に酒とドライアイスを入れて、煙を一気に吸う方法もあるらしい。お医者さんのお世話にならない範囲で、新しい酒のスタイルを楽しみましょう。

 吸って倒れたと文句言われても知らないぜ。

取材・文 川口 友万

【了】

 

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