【食べる科学実験】3分で安売りブロイラーが高級地鶏に? 謎の電気肉を調査せよ 第1回(全3回)

鶏胸肉に電流を流すとおいしくなるらしい? しかも家庭用の100Vで十分、たった3分で劇的に味が良くなるというのだ。都市伝説か? それとも食の革命か? 電気肉の謎を追う。

川口友万| Photo by masahiko taniguchii , Tomokazu Kawaguchi|シリーズ:食べる科学実験

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【第2回はこちら】

電気を流すと肉がおいしくなる?

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スーパーの安い胸肉が地鶏のような高級肉の味に変わるのだという【写真:川口友万】

 狭い。4畳半に中年の男女8人は限界だ。築50年の化石みたいなアパートは、床が抜けてもおかしくない。

 8人が覗き込む真ん中には、ダイレクトメールや雑誌が散らかった小さなコタツ机、その上に無造作に置かれたまな板と鳥の胸肉。肉にはホームセンターで買った、鉄骨を結束する針金が雑に突き刺さっている。

 針金には、理科室にあるような懐かしいワニ口クリップが挟まり、そこから伸びたコードはスライダックという、変圧用のダイヤル式装置につながっている。ひどくものものしく、怪しい。

 実験である。胸肉に電流を流し、それを食べようというのだ。

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『決してマネしないでください。』【蛇蔵/講談社】

 マンガが発端だった。

 電気を流すと鳥の胸肉がおいしくなる? 週刊モーニングで連載していた『決してマネしないでください。』というマンガに、そう書いてあったのだ。

 『決してマネしないでください。』(http://www.moae.jp/comic/ketsumane)は大学の研究室が舞台のコメディだ。理系で気の小さい主人公が学食のおねえさんに片思い、2人の恋愛をうまく行かせようと周りが妙な実験で応援する。

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『決してマネしないでください。』で紹介された通電で肉をおいしくする技。業務用装置として応用されているそうだが……【蛇蔵/講談社】

 その実験がひどくて、ハードディスクを完全に破壊するとかスタントマンのように火だるまになるとか、タイトル通り、決してマネしてはいけないような実験がいくつも紹介されている。その中に、食べ物を科学の力で簡単においしくするというネタがあった。ワインをメガネ洗浄機に突っ込んで熟成させたり、牛脂を赤身肉に注射して霜降りに変えたり。そのひとつが鳥胸肉の通電なのだ。

 やり方は簡単だ。胸肉に釘を刺して電極にし、スライダック(電圧調整用の装置)をつないで家庭用100Vを流す。それだけで、スーパーの安い胸肉が地鶏のような高級肉の味に変わるのだという。

 なんだそりゃ? 肉に釘? キリストかよ、と思う。だが、それで味が変わるというのだ。

 うそ臭い。ものすごくうそ臭い。通販のコラーゲン並みにうそ臭い。

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