ピロリ菌は歯周病の原因? 5300年前から人類を苦しめてきた細菌の最近

最近やたらとゲップが出る、またはおならが出るという方、ピロリ菌の検査をされたことがあるだろうか?ピロリ菌は胃がんの他にも多くの疾患に関わっている。

工樂真澄| Photo by ANN news CH,Getty Images

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「胃潰瘍はストレスから」は、もう古い!

ピロリ
「ピロリ菌」。名前は可愛いのに…と思った人も多いだろう
【画像:ANN news CH】

「仕事のストレスで胃潰瘍にでもなれば一人前」というのは、今は昔。いまや胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因はストレスよりも、「ヘリコバクター・ピロリ」という菌であることがわかりつつある。

 さらに50代以上に多く見られる「分化型胃がん」はピロリ菌による炎症から、移行する場合が多い。
 
 ピロリ菌は極端な酸性に偏っている胃の中でも、平気で生き続ける。ウレアーゼという酵素で作り出すアンモニアが胃酸と反応して、中和することで、胃酸の殺菌作用を弱めてしまう。

 またピロリ菌の出す物質に反応した免疫系が、胃粘膜ごと退治しようとするので胃に穴が開くという仕組みだ。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症者の9割がピロリ菌保菌者だ。

 ピロリ菌の分泌するCagAというタンパク質は、細胞に入り込んで炎症を促進する物質の分泌を活性化する。同時にメチル化酵素を刺激して遺伝子の働きを変えて、がん発症の素因を作る。[「エピゲノム研究」p92 羊土社(2016)]

 世界的には約半分の人類がピロリ菌に感染しているともいわれ、日本の感染者は全国で六千万人とか。特に上下水道がまだ整っていなかった頃に子供時代を過ごした人に多く、気にするべきは30代以上の方々だ。

 しかもピロリ菌は頭痛や貧血、歯周病、メタボの原因にまでなるらしい。今年初めに京都大学の秋吉教授らのグループが明らかにしたところによると、CagAが含まれた「エクソソーム」とよばれる細胞内小胞が、血液で全身に運ばれることで、心疾患や血液疾患、神経疾患まで引き起こすというのだ。

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