日本に不法入国する植物たち ナガミヒナゲシって何?

「危険外来植物 ナガミヒナゲシ」と書かれた画像がネットを行き来している。外来植物『ナガミヒナゲシ』が日本の在来種を脅かせているのだ。

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi

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驚異的な繁殖力をもつナガミヒナゲシ

 ツイッターなどのSNSで目にした方も多いだろう、「危険外来植物 ナガミヒナゲシ」のビラ画像。ナガミヒナゲシの驚異的な繁殖力を知った童話作家が、少しでも知ってもらおうと作ったものだ。

 外来種はそれまで繁殖していなかった土地に現われるなり、在来種を強力に駆逐していく。

 これはアレロパシー(=他感作用)と呼ばれ、分泌する生化学物質を利用して他の植物の成長を抑制したり、天敵の昆虫など呼び寄せる。対抗手段を持たない在来種は外来種によって生息域を奪われる。

 70~80年代に日本の風景を塗り替えてしまったセイタカアワダチソウは、他の植物の発芽能力を奪うシスーデヒドロマトリカリアエステルという物質を根から分泌、勢力を拡大した。

 ところが今はあまり生えているところを見ない。セイタカアワダチソウが増え過ぎ、シスーデヒドロマトリカリアエステルが土中に蓄積、自分たちのタネまで発芽を抑えてしまったのだ。自業自得である。

 ナガミヒナゲシのアレロパシー物質が何かは特定されていないが、アレロパシー活性は強く、根から他の植物の生育を抑える物質を出している。セイタカアワダチソウのように自滅すればいいが、どうなるかはわからない。

 アレロパシーの強さに加えて、ナガミヒナゲシは繁殖力が極めて強い。農業環境技術研究所によると、種子は非常に小さく、一つの実に約1600個が納まっている。

 そんな実が100個近くもなることがあり、そうなると約15万個以上の種子がばらまかれる。しかも小さいので、タイヤなどに引っ付いて、容易に遠くまで運ばれる。

 環境省自然環境局・野生生物課・外来生物対策室では、在来種の生息域を奪ったり、在来種と雑種化することで遺伝子の血統が断ち切られるなどのリスクがある生物を特定外来種、あるいは侵略的外来種として、外来生物被害予防三原則を呼びかけている。

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「危険外来植物 ナガミヒナゲシ」のビラ画像

1.入れない ~悪影響を及ぼすおそれのある外来種を自然分布域から非分布域へ「入れない」。

2.捨てない ~飼養・栽培している外来種を適切に管理し、「捨てない」(逃がさない・放さない・逸出させないことを含む)。

3.拡げない ~既に野外にいる外来種を他地域に「拡げない」(増やさないことを含む)。

 時すでに遅く、沖縄本島や奄美大島に持ち込まれたマングース、小笠原諸島に入ってきたグリーンアノールなどは侵略的な外来種として、駆除の対象になっている。

 ナガミヒナゲシは特定外来種には指定されていないが、1961年の最初の発見以来、その繁殖力には目を見張るものがあり、大いに警戒の必要がある。

 日本の動植物を守るために、旅行先の草木のタネを持ち込んだり、むやみにペットを飼って捨てるという行為はやめないといけない。

取材・文 川口 友万

【了】 

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