恐竜の脚をもつニワトリを作り出せ! 遺伝子操作で進化を逆行させる試み

チリ大学の研究者らが、恐竜と同じ仕組みの「脚」をニワトリの胚で再現する実験を行った。研究成果は学術誌「エボリューション」の3月号に掲載されている。

岡真由美| Photo by NNG Japan

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恐竜
恐竜から鳥類への進化の過程を探る【写真:NNG Japan】

 ほぼすべての四肢動物のすねは同じ長さの2本の骨、内側にある脛骨(こちらのほうが太い)と外側にある腓骨で構成されている。鳥の祖先である獣脚恐竜でも、この2本の骨の長さは等しい。

 しかし現代の鳥類では、一般に腓骨が脛骨の3分の2程度の長さしかなく、かかとまで達していない。ところが調べてみると、現代の鳥も胚の段階では、腓骨も脛骨と同じ長さで、かかとまで届いていることがわかった。

 こうした事実からチリ大学の研究者らは、遺伝子操作によって初期の段階で細胞の発達を阻害することで、恐竜の足と同じように脛骨と腓骨が同じ長さの「脚」を持つニワトリを作る「進化の逆行」実験を発案した。恐竜から鳥類への進化の過程を探るのが目的だ。

 一般的に、四肢の骨は中央部分が両端部分よりも先に成熟し細胞分裂も早く終了する。骨が成長を続けるのは、両端部分の間葉系細胞が増殖を続けるからだ。

 この間葉系細胞が軟骨細胞になり、骨の土台をつくる。続いて骨芽細胞によって石灰化が起こり、骨がつくられていく。このプロセスを骨化という。

 チリ大学アレクサンダー・バルガス研究所の研究員、ホアオ・ボテルホ氏らは、骨化で細胞の運命決定や器官形成などに重要な役割を果たすタンパク質ファミリー「インディアンヘッジホッグ」が大きな役割を果たしていることに着目。

 遺伝子操作によって胚の段階でインディアンヘッジホッグを阻害すると腓骨が伸び、恐竜と同じように腓骨と脛骨が同じ長さになったという。

 この「恐竜の脚」を持つニワトリでは腓骨が伸びた一方で、脛骨の伸長が進まず、すねの骨の全長は短くなっていた。研究者たちは腓骨が足首につながったことで、逆に脛骨の成長を妨げたのではないかとみている。

 恐竜から鳥へと進化を遂げる中で、腓骨は長い管状の骨から短く先端の細い腓骨へ形状を変わっていったのではないか。そして、この腓骨の変化が鳥が飛べることと関係があると研究者らは考えている。

取材・文 岡 真由美

【了】

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