Pepperがイタコに。意外な使い方に込められた壮大な構想とは
今回の作品のテーマは「死」や「弔い」――あえてクローズドなテーマに挑戦した市原えつ子氏の、注目アート作品「デジタル・シャーマンプロジェクト」とは。
スポンサーリンク家庭用ロボットに死者の痕跡を宿らせる「デジタルシャーマン・プロジェクト」
メディア・アーティスト市原えつこ氏がアート・プロジェクト「デジタルシャーマン・プロジェクト」を現在進行中だ。2015年11月7日には制作したプロトタイプの動画が公開された。動画を再生すると、3Dプリンターで出力した市原氏本人の顔のマスクを付けたヒューマノイドロボットPepper が、「(私のこと)分かる?」と人に聞かれて「分かる、分かる」と答える様子などが見られる。
Digital Shaman Project Prototype1 from Etsuko Ichihara on Vimeo.
今回の作品のテーマは「死」や「弔い」。家庭用ロボットに死者の痕跡を宿らせるというシリアスな内容だ。大根が喘ぐ装置「セクハラ・インターフェース」やPepperのタブレットに女性の胸部を映した「ペッパイちゃん」など、今までセクシャルなテーマを扱うことが多かった市原氏に、今回のプロジェクト着手に至ったきっかけと、現段階の進捗状況について聞いてきた。
「『デジタルシャーマン・プロジェクト』では家庭用ロボットが死者の宿る疑似的なイタコ装置になり、故人の口癖を話したり笑ったり、うなずくなどの反応をします。コンセプトやアウトプットは随時軌道修正を加えていて、着地点はまだ固まっていません。現段階では、死後の初7日には故人の人格の出現頻度が多く、だんだん死者の人格が遠のいていくよう、故人の人格の現れるパーセンテージが減らしていこうと思っています。そして死後49日目には『もう大丈夫ですよね』とPepperがマスクを外してプログラムが消滅する、という構想に落ち着いています」市原えつこ氏 以下同