Pepperがイタコに。意外な使い方に込められた壮大な構想とは

今回の作品のテーマは「死」や「弔い」――あえてクローズドなテーマに挑戦した市原えつ子氏の、注目アート作品「デジタル・シャーマンプロジェクト」とは。

石水典子| Photo by Etsko Ichihara

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「『自分が死んだときには、あれ(ロボット)があるから』という、死後の選択肢があってもいいのではないでしょうか?」

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市原えつ子氏【写真提供:市原えつ子】

 市原氏は2015年2月に祖母の死を経験し、葬儀という弔いの儀式による遺族への機能を実感したという。

 「祖母が亡くなってからしばらくは頭が混乱していましたが、葬儀に参加することで大切な人の死をすっと受け入れることができました。法事は喪のプロセスとして理にかなったものだと、この時に感じました」

 「デジタルシャーマン・プロジェクト」で市原氏は主に企画やディレクションを担当。Pepperのモーション開発などは前作でも共同制作した女性開発者に依頼し、現在49日間のプログラムの仕様作成をしている。

 では今後の展開はどのように考えているのだろうか?

 「2015年10月28日に死や弔いの意識調査についてアンケートの協力を呼びかけたところ、100名ほどの回答を得ました。そこで人それぞれ、死についての思いの温度差があることに気付きました。亡くなった人を忘れたい人もいれば、癒しの装置の需要があるかもしれない。希望者がいればPepperを使ったロボシャーマンをオーダーメイドで制作するのもアリだと思っています。たとえば『自分が死んだときには、あれ(ロボット)があるから』という、死後の選択肢があってもいいのではないでしょうか?」

 市原氏は制作に携わるうちに、死というものを「深刻なもの、踏み入ってはならないもの」として敬遠するのではなく、よりカジュアルに捉えられるようになったという。アートを通じて、死や弔いというクローズドなテーマについて問いかけていく。

取材・文 石水典子

【了】

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