すでに到来している!? 戦闘でロボットが戦う時代
戦闘における自動化技術や人工知能の開発が急速に進められているという。ロボット同士が戦うという、まるでSF映画のような世界が現実味を帯びている。
スポンサーリンク米国防総省は12月に開催された国家セキュリティ・フォーラムにおいて、米軍が戦闘における自動化技術や人工知能(AI)の導入に力を入れていることを認めた。同省は今年度新しいAI技術の開発に、120億から150億ドルを費やす計画という。
「ロボットが戦う」と聞くと、映画「ターミネーター」のように、高い戦闘能力を持ったロボットが人間に襲いかかる場面をイメージしがちだ。
こうした懸念についてワーク米国防副長官は「殺傷兵器の使用の是非やタイミングの決定は人間のみが行うべき」としつつも、「マシンの速度で攻撃を受けた場合は、人間よりも迅速に反応するマシンで対応するしかない」とし、状況分析や攻撃を受けた場合の自動反撃などへのAI技術採用を示唆した。
また、人間の意思決定支援へのAI採用も今後進むという。その初期の例といえるのが、この夏出荷開始された、Rockwell Collins開発のF-35専用のヘルメット「Gen III F-35」である。
パイロットはヘルメットを着用すると、F-35の機体前部下部に取り付けられたカメラおよび赤外線カメラにより、天候や時間帯に関係なく周囲の状況が確認できる。
この技術がさらに進めば、照準を絞る、発射するタイミングも、人間の勘や経験に頼る必要がなくなる。AIがパイロットに機関砲発射のタイミングを教えるわけだ。
すでに戦闘に導入されているロボット技術もある。実際、無人飛行機=ドローンは、偵察を含む多くの場面で使用されている。
ワーク米国防副長官によると、最近では国防総省が大型のドローンから大量の小さなドローンを「放出」し、一定時間が経過したら再び回収する「グレムリンズ」プログラムを発表したほか、海軍が大型船を10隻以上の無人ボートで守る実験を展開している。
また空軍では、現在のように複数で単一のドローンを操縦するのではなく、ひとりで大量のドローンを操縦するプログラムを試運転中だ。
国防総省国防高等研究事務局(DARPA)は、兵士が特殊な衣服やヘルメットなどを着用することで、自分の現在地や周囲の状況、敵の位置などを瞬時に認識し、何かあればすぐに対応できるようにする「Squad X Core Technologies(SXCT)」プログラムを立ち上げた。
これが実現すれば、通常の人間以上の能力を持つ「スーパーソルジャー」が誕生することになる。DARPAはすでにロックヒード・マーティンやレイセオンを含む9社と、契約を結んでいるという。
戦闘で人間が負傷しないのはよいことだが、ロボットやAI技術に殺傷される未来は迎えたくない。
取材・文 岡 真由美
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