3Dはもう古い!? 「4D」プリンター登場~ハーバード大学が開発

多様な立体を印刷できる3Dプリンターに、「時間」を加えた「4D印刷」技術が開発された。今後、医療などの様々な分野で活躍が期待される。

岡真由美| Photo by Harvard

スポンサーリンク

4D
印刷技術の新たな可能性【写真:HARVARD】

 ハーバード大学ワイス・インスティチュート、およびハーバード・ジョンAポールソン・スクール・オブ・エンジニアリング・アンド・アプライドサイエンス(SEAS)の科学者らが1月、3D印刷技術に4つ目の要素である「時間」を加えた「4D」印刷技術の開発に成功したと明らかにした。

 時間の経過や環境の変化によって形を変える植物からヒントを得たという。

 同大学のチームが発表した動画では、ランの花に似せた物体が、水中でゆらゆらと動いている。
 
 この動きはハーバード大チームが開発した数理モデルと特殊インクの組み合わせによりプログラムされ、4D印刷物はその指示通りに形を変えていく。

 湿度や気温といった環境からの刺激に対して変化する巻きひげ、葉、花といった植物の器官をまねるため、4D印刷には特別に開発されたヒドロゲル合成インクが用いられている。
 
 この特殊インクには、形を変える植物の微細構造に似せた、樹木由来のセルロース繊維が含まれる。

 インクはプリントヘッドから噴射されるときは液体状だが、印刷されると即座に固形化する。

 ヒドロゲル合成インクには、植物が膨らんだり、堅さを増したりする動きを綿密に再現するためのコードがプログラムされ、そのコードによって印刷時に並べられたセルロース繊維が反応、印刷物の形を変える仕組みになっている。


参照元:『4D printing』 Vimeo

 研究者らはこの新しい4D印刷技術について、スマートテキスタイル(環境や状態の変化を感知して反応する繊維など)、ソフトエレクトロニクス(ウェアラブルなテクノロジー。液晶なども含まれる)、バイオメディカルデバイス、ティッシュエンジニアリング(組織や臓器を人工的に作り出す技術)などの分野での活用が期待されると考えている。

 将来的には4D印刷で印刷された人工臓器が、問題なく機能する日が来るかもしれない。

取材・文 岡 真由美

【了】

俳句

PAGE TOP ↑