試験直前にやるべきことは? 感情のコントロールが受験必勝の鍵

受験シーズン真っ只中。やるべきことは全てやった。あとは持つ力を最大限に発揮するだけだ。今日は試験で平常心を保つ科学的方法をご紹介しよう。  

工樂真澄| Photo by Getty Images

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受験
試験中こみあげる緊張感とどう向き合うか……【写真:Getty Images】

 記念受験でもない限り、自分の手の届く範囲の学校に挑むという人がほとんどだろう。

 ならば今できることはただ一つ。与えられた課題を与えられた時間内に、最大限の力を発揮して解くことに尽きる。

 その邪魔をするのが「緊張」だ。いくら多くの模試を受けて試験に慣れっこだったとしても、やはり本番の緊張感たるや相当なものだ。

 テストでの緊張感を解くことが、成績につながることを確かめた研究がある。

 学術雑誌Scienceに以前載った論文で、方法はとても簡単。試験直前に湧き上がる不安を、紙に書きとめるだけだ。たったそれだけで緊張がほぐれ、試験の成績は劇的に向上した。

「書く」という行為は不安感をコントロールするには最適の方法だ。客観的に自分を見ることで、冷静さを取り戻すことが出来る。

 ワーキングメモリー(短期記憶)は不安感の影響を受けやすく、試験中に緊張し過ぎると目の前の問題が頭に入ってこない。

 あがり症の人は日頃から試験に対する不安をノートに書くように習慣づけることで、自然と自分をコントロールできるようになる。

 それに、不安を感じる要因には遺伝や環境が大きく関わっている。

 トルコの大学が行った研究によれば、試験に対して感じる不安は個人差が大きく、中でも年齢や性、両親の学歴、社会的経済的地位、兄弟数などが関わっている。

 例えば女子のほうが男子より不安感が強く、また兄弟の数が多い人ほど不安を感じる割合が大きかった。

 反対に不安感の少ない生徒は、自分のことを幸せだと感じるなど、自己肯定感が強かった。またボランティアやクラブなどに積極的だという特徴が見られた。

 これらの社会的経験を通して、他人から見た自分をよく知っているということだろう。自分の価値を正しく理解していれば、漠然とした不安など感じなくなるということだ。

 己の弱さを知り、己に打ち克つ。これぞ受験必勝の極意だろう。受験生諸君にはぜひ、満開の花を咲かせてほしい。

参考文献
Writing about testing worries boosts exam performance in the classroom.
Ramirez G et al. Science. 2011 Jan 14;331(6014):211-3.

Test anxiety levels and related factors: students preparing for university exams.
Kurt AS et al. J Pak Med Assoc. 2014 Nov;64(11):1235-9.

取材・文 工樂 真澄

【了】

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