水素水で10円玉はピカピカになるのか？

　今のところ、問題は便乗商法の水素水だ。

　太田教授も〈マイナス水素イオン、プラズマ水素、水素吸蔵サンゴ、水素吸蔵ゼオライト、活性水素　と記載されているものや、「水素水」と称したペットボトルの水は、 私の研究成果とは全く無関係です。 消費者の方は、注意しましょう〉とおっしゃっている。

　水素水は活性酸素と結びついて無効化する、それを還元反応といいますうんぬんで、それをわかりやすく見せようということか、10円玉を水素水に浸し、サビがとれたとやっている。

　実にわかりやすい。マヨネーズや醤油でも、還元反応は起きるが、そういう無粋を言い始めたら、抗がん剤も過酸化水素という強力な活性酸素を発生させる薬だけど、そんなの、ようはオキシドール（主成分は過酸化水素）と一緒じゃないかというようなもので、意味がない。

　実際、水素で還元反応は起きてピカピカになる。当たり前なんだけど。これは別の時にやったので知っている。じゃあ市販の水素水で10円玉はピカピカになるのか？　

　なるならないは濃度問題で、ならないってことは濃度が低いってことで、水素水という名前にウソはないけれど、効くのか？　という話だ。

　ウソつかなきゃいいのか？　舛添知事？　という道義上の話である。

　そういうわけでやってみましけど、変化ないです。あったら問題あるしね。だって10円玉のサビを取っちゃうって、ある意味で毒物じゃないか？　しょうゆが毒物かどうかは置いておくとして。

　水素を逃がさないようにアルミ缶を使って、だから原価も高いんだろうね。スーパーで185円だった。

　こういうものの反論は難しくて、たとえば2型糖尿病の臨床に使った水素水って、パウチされた市販品で溶存水素濃度は0.8～1.2ppm。10円玉にかけた某メーカーの市販アルミ缶が0.3～0.8ppm。どこに境界があるんだ？

　正直、わからない。ペットボトルはアウト、でもアルミのパウチは？　とはいえ髪の毛だって思い込みで生えたり抜けたりするんだから、そういうものだと思って飲むことまでは止めません。

取材・文　川口　友万

【了】