水素は医療の現場で使われている！

　ネットでは水素水が効くのか効かないのか、10円玉がピカピカになるってどうよ？　みたいな話で盛り上がっている。

　世にいう奇跡の水、『ルルドの水』（フランス）や『トラコテの水』（メキシコ）が実は水素水だった！　と白畑實隆教授（元・九州大学・細胞制御工学教室）はおっしゃる。

　奇跡の水とは水素が溶け込んだ水＝水素水であり、水素の作用によって病気が治るのではないか？

　ルルドの水！　そういうことを言うから、うさん臭さにフルブーストなのだが。

　友人の医者が水素水サーバをクリニックに入れた。医療用というのがあるそうである。

「血糖値が下がらなかったのが、水素水飲んで1週間で下がったんだよ」

　血糖値？　先生、糖尿病なの？

「医者なのにねえ。ちょっと高くてね、水素水飲んだら下がったからね、今、患者さんにみんな飲んでもらってるよ」

　ふーん、良いんだ。

「血圧と血糖値とデータ集めてるけど、みんな数字いいよ。ちょっと飲んでく？」

　……医者が勧めてですよ、効く効かないって、疑うか？　疑わないよなあと思うわけだ。

　水素水なんて水素ワールドのほんの一部でしかない。

　2015年に発足した分子状水素臨床工学研究会は、水素の臨床応用の標準化を推進する団体だ。そこのHPに載っている水素供与手段は、

・水素ガス
・水素点滴
・水素水
・水素含有臓器保存液

　水素カフェというのもあるそうで、水素を吸入するわけだ。以前、酸素を吸うのが流行ったから、一緒に置いておいたら爆鳴気ができて、部屋ごと吹っ飛んだら面白い。

　臓器保存液に水素？

　HPによると<大阪大学、北里大学、国立成育医療研究センター、ピッツバーグ大学などで使用された実績>があり、<水槽内の飽和水素水に、市販の臓器保存液をバッグごと漬け置きしておくだけで、飽和水素水中の溶存水素が臓器保存液に移行>するのだそうだ。

　漬け置き？　臓器移植って、お洗濯に似ている。

　水素水に関しては<まったく分子状水素が溶存していない水を水素水として販売する企業>や<流通過程で分子状水素が抜けていくことを知りながら、ペットボトルに充填した水素水を販売する企業>が後を絶たないと憂えている。

　よろしいですか？　ペットボトルに入った水素水に水素は入っていません！　水素水の水素抜きです！　カツ丼のカツ抜きと同じです！（ただの白飯じゃねえか！　なあに、おしんこがついている、なんて落語があったけど）。