草の力で異常気象のリスクヘッジ【明らかになる生物多様性の役割 01】

最近の研究で生物多様性が豊かだと、集中豪雨や干ばつなど異常気象の被害を減らせることがわかってきた。生物多様性が生み出す様々な「利益」とは。

山下祐司| Photo by Getty Images , Yuji yamashita|シリーズ:シリーズ・研究室から

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生物多様性と気候変動の関係

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緑豊かな大地は地球を守っている【写真:Getty Images】

 生物多様性が高いと異常気象に対する抵抗力が上がる。という研究結果が科学雑誌「Nature」に掲載された。

 この論文の共著者で、生物多様性と気候変動について研究している横浜国立大学の森章准教授は「生物多様性が高いと生態系が強固になり異常気象のダメージをより受けにくくなる」と説明する。

 近年、生物多様性がもつ働きの研究が進んでいる。報告されたのは北米とヨーロッパの46ヶ所で、生える草本植物の種数を変え、異常気象による影響を比較したのだ。

 それぞれ草本植物がわずか1、2種しか生えない土地と16~32種が生える土地を作り、最短で2年、最長では16年間にわたって、植物が気象から受ける影響を比較して調べた。

 これだけ多数の地点で長期間にわたり調べると、10数年に1度しか起きない異常気象も発生し、その影響を含めて分析ができる。

 異常気象による影響を調べるために、指標としたのは植物の一次生産量。一次生産量は、植物が光合成でつくりだす有機物の量で、おおざっぱに言い換えると土地に生える植物の総量だ。
 
 極端な豪雨や干ばつという、異常気象が起こったときの一次生産量の変化を調べると、植物の種類がわずかな土地では、異常気象のダメージで一次生産量が半分ほどに減ってしまったが、草の種類が多い土地では4分の1ほどで踏みとどまっていた。

 「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、気候変動による極端な高温や干ばつの増加、強い降水現象の増加の可能性が懸念されます。とくに、極端な気象変化は社会を不安定にすることがわかっています。

 この研究は基礎の段階で、すぐに実社会に生かせるものではありませんが、生物多様性を高めることで、異常気象の被害を緩和できるかもしれません」(森准教授)

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