落合陽一の語る「サンジャポの重要性」 スプツニ子! は原点回帰を宣言

現代アートをリードする、落合陽一とスプツニ子!が熱く語る。 テクノロジーは現代アートをどこに導くか。

山下祐司| Photo by Yuji Yamashita

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現代アートのトップランナーは何者か

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左から森川氏、スプツニ子氏、落合氏
【写真:山下祐司】

 G7茨城・つくば科学技術大臣会合を記念して5月14日に開催されたJ-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2016 。

「テクノロジーが変える現代アート・カルチャー最前線」がテーマ。森川亮氏を進行役に、現代アートを引っ張るスプツニ子!氏と落合陽一氏がテクノロジーについて語った。

 現代アートは「意味」の理解が求められ、アーティストの考えることは難解に思える。それでも、作品に「何か」感じたら、体が、生きている今について考える機会を求めているのかもしれない。

「テクノロジーやサイエンスがいろんなものをぶっ壊していく。(社会の)構造だったり。どんどん前に進む。私はそれを肯定して『進むべき』と言っているつもりはないが、これもありなんじゃないか。

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「赤い糸をつくろうと」 スプツニ子!氏
【写真:山下祐司】

 こういう未来もありますと見せていくスタイル」と自分の作品を説明するのはMITメディアラボ・助教のスプツニ子!氏。
 
 最新作は遺伝子組み換えカイコも登場するミュージックビデオ「運命の赤い糸をつむぐ蚕 – タマキの恋 」だ。日本の神話をイメージさせるストーリーに先端科学が組み込まれている。

 遺伝子工学研究室に在籍する主人公の豊田玉姫(たまき)が、同じ研究室の先輩山田ジョン幸彦(さちひこ)に片思いし、テクノロジーで振り向かせようとする。

 豊田玉姫は遺伝子組み換えカイコに恋愛ホルモンで・オキシトシンを含んだ「赤い糸」を合成させる。その運命の赤い糸で編んだスカーフを身につけ、山田ジョン幸彦に会いに行く。

「日本には八百万マインドがあって、神が絶対じゃない。西洋ではガリレオ裁判のように科学と神話が対立すると思われることが多い。

 神田明神にいくとIT情報安全祈願があるように、科学が神話を壊すのではなく、科学が神話をつくりだす未来がまっているのでは」(スプツニ子!)

 テレビ画面内でモノも人もが自在に動かせるように、音波や光など波動を駆使して実際の空間を動かす「術」を研究する筑波大学助教の落合陽一は「映像と物質との壁をどう越こるか。人と機械もあまり変わらないので、そこをどう越えていくか」と自分の研究テーマを語る。
 
 シャボン玉をスクリーンとして使い、色彩豊かな映像を映し出した作品「A Colloidal Display」、ディスプレイすらない空間に”触れる映像”として妖精を出現させた「Fairy Lights in Femtoseconds」、空中浮遊を音波で実現させた「Pixie Dust」など数々の刺激的な作品を発表し、現代の魔法使いとの異名を持つ。

 そんな落合氏は現代のアートとサイエンスやテクノロジー、そしてSFやコミュニティデザインも含めた役割についてこう説明する。

「社会への役割はあんまり変わらない。どれも同じような役割として存在する。それは何か。

 社会に新しい価値を提案して社会にインパクトや驚き、新しい目のつけどころを与えること。それが渾然一体となりはじめているのが21世紀、2016年半ばだと思う」

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