太るほど物忘れがひどくなる!? 肥満と記憶力に「相関性」
時間をあけずにどんどん食べてしまうのは、何を食べたか覚えていられないからだった? 肥満が及ぼす悪影響は記憶力の低下にも関係していることがわかった。
スポンサーリンク英ケンブリッジ大学心理学部の研究者らが、18歳から35歳の、BMI(ボディマス指数)18から51の50人を対象に記憶力のテストを行った。
BMIとは体重(単位:キロ)を身長(単位:メートル)の二乗で割った体格を表す指数で、BMI=22となる体重が標準体重とされる。一般にBMI18から25は「健康」、25から30が「やや肥満」、30以上が「肥満」と判定されている。
同大学の研究者らによると、参加者のうち36人が女性。26人はBMI25未満、24人はBMI25以上だった。
被験者は「宝探しタスク」と呼ばれる記憶力のテストを受けた。これはコンピュータの画面に表示された景色の中に複数の食品を隠したり、移動したりするよう指示され、そのあとでどの食品を、どのような順番で、どこに隠したかという質問に答えるというものだ。テストは2日間かけて実施されている。
その結果、テストスコアは教育を受けた年数に影響を受けたものの、それよりもBMIの影響のほうが大きいことが判明した。BMIが高い、すなわち肥満度が高い人ほど、テストの点数が低かった。被験者グループの男女や年齢では差は見られなかったという。
ケンブリッジ大の研究者らは今回のテスト結果やこれまでのさまざまな研究結果から、肥満が脳神経の構造や機能に影響を与え、特にエピソード記憶(関連付けの記憶、経験の記憶)を低下させるのではないかと推測している。
同大のルーシー・チーク博士は今回の研究はサンプル数が50人と少ないため、さらなる調査が必要だとしつつ、「肥満の人がみな物忘れが激しいという意味ではないが、過去の出来事、例えば何を食べたかなどを、正確に記憶できていないという可能性はある」と述べている。
つまり、肥満になればなるほど何をどれだけ食べたかが覚えられなくなり、さらに食べてしまうという悪循環を生む可能性があるというのだ。
今回の研究結果は「クオータリー・ジャーナル・オブ・エクペリメンタル・サイコロジー」に掲載され、2月22日に公開された。
取材・文 岡 真由美
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