座っているだけで寿命が短くなる事実 約11.7億人もの人間で調査

ブラジルの調査から毎日3時間以上座っていると寿命が縮むことが判明。調査した人数はなんと11.7億人の地球人だ。

山下祐司| Photo by Getty Images

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座る
デスクワークは危険? 【写真:Getty Images】

 4月12日、ブラジル・サンパウロ大学の研究者を中心とするグループが米国の予防医学の専門雑誌『American Journal of Preventive Medicine』である報告を発表した。

 現代人の多くが毎日パソコンに向かい座って仕事をしているというのに、毎日たった3時間以上座っているだけで死亡リスクが上昇するというのだ。

 パソコンに向かって仕事をしていると目は疲れ、肩は凝り、腰が痛くなる。体が悲鳴をあげても仕事だから逃げ出すわけにはいかない。

 いすに座って黙々と作業を進めるわけだが、これが体にいいわけはない。わかっちゃいるけどやめられないのが現代のホモサピエンスだ。

 だからこそ人は、ささやかな抵抗として、この食べ物で健康になるとテレビで流れるやいなや手を出してみる。

 適度な運動が体にいいなら夜に10分でもウォーキングをしようという気になる。しかし、研究の進歩とは恐ろしいもので座っている時間にまで注目した調査をはじめている。

 ブラジルの研究者たちは54カ国、約11.7億人という世界人口の約5分1にあたる成人の座っている時間と死亡率との関係を調べた。

 54カ国の人々の1日あたりの座っている時間の平均は4.7時間。地域別にわけると南北アメリカ大陸の国々が短く4.2時間、最も長く座っているのはオーストラリアを含む大洋州の国々になった。

 国別でみるとレバノンが1日平均9.8時間と最長となっている。なぜだ?アラブ諸国の中でも飛び抜けている。

 それはさておき、研究者たちは座っている時間を1日当たり3時間で区切って死亡率を分析したところ、3時間より長く座っていると死亡リスクが3.8%上昇すると判明した。

 数値は大きくはないが11億人が対象となっているため、言い換えると毎日3時間以上座っているおかげで1年当たり約43.3万人が亡くなっている計算になる。

 数字だけをみるとちょっと冷や汗が出てくる……。この調査に幸運にも?日本は含まれていない。実は別の方法を用いた日本の調査が昨年報告されている。

 約3.7万人の日本人を調べた結果は、農業や水産業など1次産業の仕事に就いている人が仕事中に3時間以上座っていると、1時間も座っていない人より死亡リスクが1.23倍高くなっていた。2、3次産業の仕事を持つ人は座っている時間の影響はみられなかった。

 まず1次産業で働いている人は仕事中に座る時間を3時間未満に抑える。だが、そんなこと可能なのか見当もつかない。会社で従業員がみな立ちながらパソコンを動かしていたらちょっと気味悪い。とはいえ立派な先人は「立ち仕事」を試みている。

 ホリイのずんずん調査で有名なコラムニスト・堀井憲一郎は立ち机をセッティングし、立ったままで原稿を書いていた(『いますぐ書け、の文章法』)。実行に移すかどうかは神のみぞ知るところである。

取材・文 山下 祐司

【了】

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