防災科研が熊本地震の緊急報告を開催 【第2回】阿蘇山の火山活動は活発化していない
4月24日に行われた緊急報告で、同研究所の火山防災研究部門・棚田收部門長は観測データから地震後の阿蘇山の火山活動について説明した。
スポンサーリンク「阿蘇山の火山活動に特段の活発化はない」
同研究所・火山防災研究部門の棚田收部門長が「昨年の11月24日から現在にいたるまで、阿蘇山の噴火警戒レベルは2です。
4月14日から熊本・大分で活発の地震活動が続いているが、阿蘇山の火山活動に特別な変化は観測されず、特段の活発化はない」
と強調して報告はスタート。数々のデータを提示し、4月16日の本震後に噴火した阿蘇山の火山活動について説明した。
阿蘇山の噴火警戒レベル2が示すのは『火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される』(気象庁)ケース。
火口周辺への立入は規制されるが、住民は避難するわけではなく日常生活を続けられるレベルだ。
まず、防災科研が運用する基盤的火山観測網(V-net)と阿蘇山の中岳火口を取り囲む永草、一宮、高森、白水の4つ観測点を紹介し、火山性微動について解説した。
阿蘇山に火山活動がなければ、火山性微動を計測する震動データはなだらかなまま。
高森観測点のなだらかなデータを見せ、続いて過去の噴火で数多くみられた火山性微動の孤立型微動や連続微動を提示した。阿蘇山では5μm/s 以上の震幅があれば孤立微動となる。
緊急報告会当日の阿蘇山の波形(図1)を見ながら「震幅が黒い部分は余震。孤立型微動や連続微動は若干みられるが、昨年11月の記録と比較しても震幅も非常に小さく、回数も少ない」と説明。
4月9日から24日までのデータも示し「(地震の後に)揺れ幅が普段の状況と同じようなレベルまで下がってきた。つまり、火山性微動と考えられる地震動は余震の震幅をのぞけば落ち着いている」と語った。