おとといの夕飯は何食べた? 物忘れは死の前兆だった!
「最近、物忘れがひどくて。」と、記憶力の低下を感じたら脳卒中の前触れかも。しかも高等教育を受けた人ほど、そのリスクが高いというのだ。
スポンサーリンク予防は自覚症状があるうちから!
認知症と学歴には関係がある。
大学などで高等教育を受けた人ほど、認知症の発症リスクが低くなるらしいのだ。
認知症の原因疾患の中で最も多いのはアルツハイマー病だが、高等教育を受けた人は、アルツハイマー型認知症の発症リスクがあきらかに低い。
じゃあ大卒なら認知症と無縁と言えば、そんなことはない。ひとたび忘れっぽくなると、そこから「脳卒中」を起こす可能性が高いというのだ。
脳卒中を起こせば、それが原因で認知症を発症しやすい。
オランダで9千人以上の人を対象に長年にわたる調査を行ったところ、「物忘れ」を訴える人の中でも、高等教育を受けた人は「脳卒中」を起こしやすいことがわかったのだ。
なぜ高等教育を受けた人のほうが脳卒中につながりやすいか? これらの人々は自分の認識能力や記憶力が落ちたことに、より敏感だからという解釈ができる。
教育レベルによって脳卒中の起こしやすさが変わるというわけではない。脳卒中が起きる確率は、教育レベルによらず同じだ。
神様は平等に誰でも脳卒中にしてしまうが、「物忘れ」と脳卒中を結び付けて説明できるのが、高学歴者なのだ。
「物忘れ」の裏では、脳の細かい血管損傷や委縮が起き、脳卒中を起こす下地になっている可能性がある。
より長く教育を受けてきた人のほうが、そのような脳の変化に気づきやすいのかもしれない。
いったん記憶障害の症状が出れば、いくら高等教育を受けていようが、同じような速度で記憶力は低下していく。
大卒の人からしたら「若い頃、脳みそをフル回転して一生懸命勉強したのに、何だか損だ。」と嘆く声も聞こえそうだが、脳の機能を保つのに学歴は関係ない。
認知症は発症する20年も前から、少しずつ始まっていると言われる。予防のためには、規則正しい生活とバランスのとれた食事、質の酔い睡眠に適度な運動、そして節酒禁煙に勝るものなしだ。
文献
Longitudinal neuroimaging correlates of subjective memory impairment: 4-year prospective community study.
Stewart R et al. Br J Psychiatry. 2011 Mar;198(3):199-205.
Subjective memory complaints and the risk of stroke.
Sajjad A et al. Stroke. 2015 Jan;46(1):170-5
取材・文 工樂 真澄
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