脳に効くサプリはウソ? 太ると物忘れに? あなたの脳の改善ガイド
先日ATMでのこと。長年使った口座の暗証番号が思い出せず、適当に押したら案の定ブロックされるはめに…こんなちょっとした物忘れを改善する方法は?
スポンサーリンク失われた記憶はどこへ
「歳のせいで物忘れがひどい」というのは単なる言い訳。実は『覚えた気になっていただけで、最初から覚えていない』(「記憶力を強くする」池谷裕二著)。
脳の「海馬」に入った情報は取捨選択されて、重要なものだけが大脳皮質の引き出しへと整理される。
例えば、昨晩飲み屋で会った初対面の人の名前はなかなか思い出せないが、「陽気な人だったな」とか「『丸ちゃん』て呼ばれてた」など、引き出しに「タグ」がたくさん付いているほど思い出しやすくなる。
記憶のパターンは年齢とともに変化し、年をとるほどこの「タグ」付けが重要になってくる。
「若い頃はそんな苦労しなかったのに」と、ぼやきながらドラッグストアに行けば、物忘れや脳に効く様々なサプリメントが売られている。
一般に「脳に効く」という謳い文句で売られているのは以下のようなものだ。「EPA」「レシチン」「朝鮮ニンジン」「GABA」「イワベンケイ(ロディオラ)」「ビタミンE」「ビタミンB類」「α-リポ酸」。
健全な消費者の味方である『国立健康・栄養研究所』のサイトでは、ありとあらゆる健康食品の科学的根拠を膨大な論文データベースから探し出して公開している。
そこで上記の成分を検索すると『健常者の認知能力の向上』という点では、これらの栄養素には明確な効果はない!
「クルミ」や「DHA」、「レスベラトロール」「アセチル-L-カルニチン」「ヤマブシダケ」もよく聞くが、これらは全く科学的根拠がないわけではないようだ。
効果がなかったという論文に紛れて、「高齢者の認知機能が改善した」という論文もある。
「ホスファチジルセリン」は脳や神経組織に多く含まれるリン脂質の一種で、認知症を改善するとされるが、長期間の摂取で効果がなくなるという報告がある。
「ビンポセチン」も効果を示すようだが、これは医薬品であり、白血球が減少するなどの副作用も報告されている 。
健常者が日常使用することの安全性は未確認であるから、怪しいものには手を出さないほうがいい。