【変わる覚せい剤使用者】第2回 覚せい剤乱用者は「治る」のか 治療法の転換、そして進歩(全3回)

「ダメ。ゼッタイ」や「人間やめますか…」などインパクトの大きいフレーズは確かに予防には向いているが治療の実状とは一致しない。

山下祐司| Photo by Getty Images Yuji Yamashita|シリーズ:変わる覚せい剤使用者

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【第1回「反社会から一般へ 覚せい剤乱用者の現在」はこちら】

依存症へのプロセス

覚せい剤2
依存症そのものは治らないが……
【写真:Getty Images】

 平成26年に覚せい剤で検挙されたのは11,148人、そのうち再犯者は65%。同じ罪種で検挙されているのは一般刑法犯全体でみると約15%になり、最も高いのが窃盗で20%ほどだ(『平成27年度・犯罪白書』)。

 そもそも、依存性が高い覚せい剤の治療は可能なのだろうか――。埼玉県立精神医療センターの合川勇三医師は答える。

「治療は十分可能です。確かに再犯率は高く、依存症そのものは治りません。しかし、覚せい剤の欲求をコントロールできるようになり、再使用せずに生活を続けることは可能です。

 そういう意味で治らない病気ではありません。依存の度合いが低ければ外来通院ですむ人もたくさんいます」

 3年から5年ほど覚せい剤の再使用がなければ、再び手を出すリスクはかなり低くなったと考えられるという。

 麻薬・覚せい剤乱用防止センターの「ダメ。ゼッタイ。」や過去には日本民間放送連盟が「人間やめますか。覚せい剤止めますか」など印象的なフレーズとはイメージは異なる。

 覚せい剤依存症になる典型的なパターンはひと月に1、2回の使用からはじまる。副作用はなく、やる気を出すために出勤前に使う人すらいる。

 しかし、“幸福”な時期は長くは続かない。次に1日に2、3度、数日続けて使う。この間、副作用で不眠になり食欲もなくなる。

 そして、数日間は覚せい剤を使わず脱力して倦怠感にまどろみ、無気力になり長時間眠り続ける。食欲も戻り体力が回復しはじめる7~10日後に再び1日に2、3回使うようになる。

 このサイクルを繰り返す。覚せい剤を使わないと何事もやる気が出ず、体が動かなく非常に辛いのだという。そして、いつかはより頻繁に使い始める。

「使い方をうまくコントロールして多幸感や高揚感を得る、“いいとこどりの使い方”はない」と合川医師は断言する。

 依存症になるまでの期間は個人の感受性や覚せい剤の使用頻度、量などさまざまな要因が関連し一概にはいえないが、使用期間に比例して強まるという。

 ただし、クラックコカインのように一度だけで依存症になるケースもあるので、短期間ならいいというわけではない。

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