日本の家電メーカーは何をやっている? イギリス発ポータブル電子レンジの発想力
電子レンジが持ち運び可能に! 慣れない火おこしやむずかしい火加減の調節は不必要。未来型キャンプは何でも「チン」して食べるのだ。
スポンサーリンクバックパックに入れて持ち運べる小型電子レンジ「Adventurer」をイギリスのウェイブ・テクノロジーズが開発した。
見た目は電子レンジというよりも水筒のようだ。最新技術でむらなく温められるという。高さは305mm、直径128mm、重さは約1.2kgだ。
一般的な電子レンジの内部にはマグネトロンという装置があり、ここからマイクロ波を発生させ、導波管を通じて食材に照射する。
マイクロ波を当てると水分子が動き回り、互いに摩擦しあって熱を起こすため、食品が温まる。
このマイクロ波がむらなく均等に食品に当たるよう、電子レンジ内部の壁にはマイクロ波を反射する素材が用いられているほか、回転式ターンテーブルがついている。
しかしそれでも、温かい部分と冷たい部分ができてしまいがちだ。
そこでマグネトロンを使わずに、携帯電話のパワーアンプなどに使われているLDMOSトランジスタを用いてマイクロ波を発生させる。
電子レンジを小型化することができるうえ、マイクロ波を効率よくかつ万遍なく照射することができるのだ。
このLDMOSトランジスタを使うことで小型電子レンジ「Adventurer」が実現したわけだ。LDMOSトランジスタは大手半導体企業NXPセミコンダクターズが製造している。
さてこの携帯電子レンジだが、現時点で加熱が可能なのは、100mlから500mlの食べ物または飲み物のみ。パッケージ入りの冷凍食品などは加熱できない(入らない)。
フル充電の状態で動作可能時間は30分強なので、加熱可能なのはだいたい6回程度だ。
家庭用電源(車の電源含む)だけでなく市販されている携帯ソーラーパネルでも充電可能なので、ハイキングやキャンプといった野外活動だけでなく、災害時の利用も期待できる。
火が使えない場所でもお湯が沸かせるので、熱々のお茶やコーヒーが飲めるし、インスタント味噌汁やカップラーメンも食べられる。
具沢山のスープ、チャーハンなどのご飯ものを詰めていって、お弁当にするのもいいかもしれない。
「Adventurer」は早ければ2017年始めにアメリカで、199ドルで発売される予定だ。
掃除機ロボットや油を使わないフライヤーなど、この数年は他国のメーカーが次々と新ジャンルを開拓している。
家電の小型化や特殊化は日本のお家芸だったはず。日本の凋落を感じないではいられない。
『Wayv_unit_film_720』 【from Wayv Technologies】
取材・文 岡 真由美
【了】