日本人7名がテロの犠牲に 米研究者がSNSからテロを予測する方法を発表
米・マイアミ大学の研究者らがISISなど過激派グループのテロを未然に防ぐ方法を発表した。鍵となるのはSNSの書き込みだ。
スポンサーリンクテロがとまらない。バングラデッシュの首都ダッカの飲食店が襲撃を受け、7人の日本人を含む20人が死亡した。イラクでもトラックによる自爆テロで120人を超える人たちが犠牲になった。先日、トルコの空港で自爆テロが起き、米国でも同性愛者が集うナイトクラブで49人が殺害されたばかりだ。
米マイアミ大学のネイル・ジョンソン博士らは、イスラム過激派グループISISのテロを予測できるモデルを開発したと発表した。ISISを支援する人々のソーシャルメディア上のやり取りや書き込みから、彼らの行動パターンを予測する。
ISIS関連団体や支援グループ、あるいは個人のテロ活動を未然に防げると主張している。先日、米・フロリダ州オーランドで49人を殺害したオマー・マティーンのような単独犯ですら、事前に発見できる可能性があるというのだ。
博士らはISISが誕生した2014年から、そのオンラインでの活動を追跡してきた。蓄積した膨大なデータから、ISIS支持団体やオンライングループは、FacebookのようなSNS経由で互いにつながり、新たなメンバーを増やしながら成長していくことがわかった。
統計モデル開発のためジョンソン博士らはロシアを拠点に、様々な言語を使う3億5,000万人以上の会員を持つ欧州最大のソーシャルネットワーキングサービス「VKontakte」内の196のISIS支持グループとその関連メンバー108,086人を観察した。
危険なグループは即座に排除するFacebookとは異なり、VKontakteではこうした団体が活動を継続できるからだ。
博士らは中でも資金源やドローンの回避法といった、具体的な話をしているフォロワーを含むグループに注目している。
過激派に関連する#ISISなどのハッシュタグを検索し、そのフォロワーやリンクを追跡。過激発言を書き込んだ人とその発言がフォローやリツイートで拡散し、終息するまでの日時を細かく記録した。
さらにこうしたやり取りの中で浮上したグループ名を記録、追跡するとともに、ISIS関連の声明やISISの名のもとに行われた自爆テロなどの多様なニュースおよびデータを収集、解析した。
ジョンソン博士らは単独で活動をスタートしたテロリストも必ず誰かと連絡を取り始め、どこかのグループと関係を持つようになると指摘している。
データを分析すると現実に大きなテロ活動が起きる直前に、ISIS支持派のオンライン活動が活発化することが判明している。
例えば2014年9月のISILによるシリアのコバニ包囲戦の直前には、VKontakteでのISIS関連と思われるグループのメンバー同士の接触が急速に増えたという。
こうしたメンバーのオンラインでの活動や他の人々とのやりとりに注目すれば、テロに直接関連しない発言から、テロを予測できるとジョンソン博士らは述べている。
取材・文 岡 真由美
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