これが今年のトピックスだ! 人工ブラックホール? 高次元宇宙の存在証明 【ニュートン編集部が大予想! 03】

113番目の元素からLHC、ダークマターやブラックホール、そしてシャコのパンチまで! ニュートン編集高嶋さんが科学の面白さをまだまだ語る!

川口友万| Photo by Tomokazu kawaguchi , Newton|シリーズ:ニュートン編集部が大予想!

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ブラックホールを作る?

ニュートン03
ニュートンは毎月26日発売科学雑誌 ニュートン【画像提供:ニュートン】

――ブラックホールを作るって、冗談のような話ですけど……

「LHCでできるのは、構造的にはとても小さいブラックホールなんです。

 ブラックホールって、何でも吸い込んでいってどんどん大きくなるというイメージがありますよね。

 でもとても小さな“マイクロブラックホール”の場合、物理学者はそんなことは起きないと言っています。

 すぐに蒸発するんだそうです。

 LHCと同じような現象は、実際に宇宙線というもので、自然界でも起きているんですね。

 宇宙線って宇宙からやってくる放射線のことなんですけど、高速の粒子が宇宙からバンバン降り注いでいる。

 いろんなエネルギーをもってるやつがいて、中にはLHCでグルングルンまわして加速されている陽子と同じか、もしくはもっと強いエネルギーをもってる宇宙線もあるんです。
 
 だからLHCでブラックホールができるのなら、大気の上層に宇宙線がぶつかることによって、ブラックホールがバンバン出来てないとおかしい。

 でも、過去にそんなふうにしてブラックホールが周囲の物質を吸い込んで大きくなって、地球に被害が出たなんて話はありませんから。

 蒸発してすぐになくなるはずだという理論予測は正しいだろう、と考えられているわけです。LHCは本当にいろんな大発見があり得るので、大注目です」

――いろいろ面白いですね。ニュートンを読むとそういう科学の最新トピックスがわかると?

「そうですね。私たちの雑誌は、科学の成果が何に応用されるのかということより、『科学自体面白いじゃん』っていう立場なので。

『高次元が見つかったら、何が便利になるの?』って聞かれても。正直知りません(笑)

 そんなことよりも『いやいや、高次元あったら楽しいじゃん! それ超ドキドキしない?』っていう立場なんです」

――理系の読者相手だと、記事を作るのも大変でしょうね。

「理系出身の読者の場合、たとえば物理系出身の人には、生命系の記事を読んでほしいですね。

 生命系出身の人は物理系の記事を読んでほしいですし。

 物理系出身の人は、ニュートンは簡単な物理の話しか載ってないから読む気しないよって言っちゃわずに、生命系の記事や動物の記事なんかも、すごく面白いということを知ってほしいですね。

 動物もすごく面白いんです。たとえば,シャコのパンチが700ニュートンあるって知ってました?(笑)

 700ニュートンって70キロの重さの物体、つまり私の体に働く重力くらいの大きさです。
 
 私はつい最近のニュートンの原稿チェックのときにこのことを知りました」

――すげえな、シャコ!

 科学の面白さを伝えたいと思って真面目にやっている雑誌なので、ぜひその楽しみを読んで感じていただけたらと思っています。

取材・文 川口 友万

【了】

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