通説“シマウマのしま模様はカモフラージュになる”に異論。ライオン目線で再現すると?
“シマウマ”のしま模様は過酷なサバンナで身を隠すのに有効に働くと考えられてきが、昨今の研究で意外な事実が判明した。
スポンサーリンクヒトの視点で考えられていたシマシマカモフラージュ説
~ある動物園のシーン~
子ども「なんで、シマウマはしましま模様なの」
親「ん~。背景にまぎれて、ライオンから食べられないようするためじゃない」
たぶん、世界中でたくさん繰り返され、これからもリピートさえるこんな会話には、今後、注意が必要だ。
ワシントン大学のアマンダ・メリン准教授らの研究チームはシマウマのしましま模様が、ライオンから見ると本当にカモフラージュになるのか調べている。
共同研究者のひとりで九州大学大学院の平松千尋助教は「ライオンの目からシマウマがどう見えるのか、再現して調べた研究です」と説明する。
この結果は1月22日、科学雑誌「PLOS ONE」で発表された。
アフリカの広大な草原で、群れているシマウマ。
低い姿勢で茂みに隠れたライオンが、離れたところから一気に駆け寄って、シマウマにかぶりつく様子は弱肉強食の世界を示す名物シーンでもある。
白黒の「縦じま」ストライプを胴体にもつ野生の馬の仲間は、3種類のシマウマだけで、ストライプの太さは異なる。
このしま模様のおかげで草原などの背景に溶け込んでカモフラージュになり、ライオンやハイエナなどの肉食獣からの攻撃を回避できると考えられている。
悪名高い優生学の創始者として有名な生物学者、フランシス・ゴルトンも、狩りを観察して、近くから見た黄昏時のシマウマはしましま模様のおかげでグレーに見え、肉食獣から気づかれくいと述べたという。
ただ、それはあくまでのヒトの視線でしま模様の役割を考えたもの。
本当にライオンの眼で見るとカモフラージュになっているのだろうか。
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