サッカー・Jリーグを丸裸 統計学が突きつける、いびつなチャンピオン争いの実態

昨季より導入されたJリーグの2ステージ制。長く浸透した1ステージ制からの変更は大きな批判を呼んだ。統計学を用いた分析が、2ステージ制の実態を明らかにする。

山下祐司| Photo by Getty Images

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10万シーズンのシミュレーション分析で明らかになった問題点

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首位の川崎フロンターレといえばこのひと 中村憲剛選手
【写真:Getty Images】

 J1 リーグの1stステージは後半戦に入り、川崎フロンターレが首位に躍り出た(5月30日現在)。昨年、チャンピオンシップ(以降CSと省略)を制しJリーグの年間優勝を勝ち取ったサンフレッチェ広島は6位に沈んでいる。

 各チームが1stステージ優勝を目指し、試合はますます白熱してくるだろうが、一昨年から気がかりな点は残ったままだ。年間優勝チームを争うCSの存在だ。

 2015年からJリーグが採用した新たな制度に統計的な方法で切り込み、CSは『年間勝点で4位以下のチームをステージ優勝で救済する制度』と分析したのが名城大学理工学部の小中英嗣准教授だ。小中准教授はこう語る。

「現行のJ1のリーグ制度とCS制度は設計そのものに大きな問題があります。単純にサンプル数の少ない過去実績からの推論ではなく、10万シーズンをシミュレーションした分析で明らかになりました」

 小中准教授の専門は情報工学だがスポーツ観戦が好きで、准教授の教え子で大学4年生だった泉武志さんとともにJ1のリーグ制度とポストシーズン制度(現・チャンピオンシップ)を分析。その結果が今年の2月に、日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌に掲載された。

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昨年はサンフレッチェ広島がCSを制した
【写真:Getty Images】

 まず、簡単にJ1リーグの年間優勝チームの「決め方」を振り返ろう。

 Jリーグが開幕した1993年から1996年をのぞく2004年までの11年間は、1シーズンを1stと2ndステージにわけて戦い、それぞれの優勝チームが年間優勝のタイトルをかけて争っていた。

 2005年から2014年までは1シーズンで勝点の最も多いチームが年間優勝のタイトルを獲得するシンプルな制度を採用していた。人気の高い欧州主要リーグはこの制度で長年戦っている。

 スポンサー収入と観客数の増加を目指し、2015年からは1シーズンを1stと2ndステージにわけた2ステージ制になり、各ステージの優勝チームと年間勝ち点の上位3チームでポストシーズンであるCSを戦うようになった。

 3つの優勝を争い、CSのトーナメント戦も実施して“山場”を増やす戦略だ。しかし、各ステージ優勝のチームと年間3位までのチームが重なる可能性があり、CSに出場するのは3から5チームの間でゆらぐことになった。

 それまで年間優勝とされていきた年間勝点1位のチームはCSの決勝にシードされるとはいえ、「地位」が低下したため制度変更への批判は少なくはなかった。

 現行のCS制度がはじめて実施された昨年は、年間勝点が3位のガンバ大阪と2ndステージで優勝し年間勝点1位のサンフレッチェ広島が下し年間優勝の栄冠を獲得している。

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