科学がデッカイ! 驚くべき構造物の美『日本の現場 立入禁止の向こう側』展
想像を超える巨大な美。合理性を突き詰めた先にある洗練。科学の現場が生んだ芸術を写真家が発見する。そんな写真展が東京・新宿で開催中だ。
スポンサーリンク入っちゃいけないところに入る意味
見ちゃいけないと言われると見たくなるのが人間の性。入っちゃいけないと言われると入りたくなるものなのだ。
断られ、無視され、担当者たちとの数々の闘争を経て、関係者以外立ち入り禁止の施設にに入ったら、驚くべき構造物の美があった……
西澤丞 写真展『日本の現場 立入禁止の向こう側』はそういう写真でギャラリーが埋め尽くされている。
入っちゃいけない場所には入っちゃいけない理由がある。鉄工所は危ないからだし、粒子加速器は不用意に入るとノイズが出てしまうからだし、ロケットのように国策に関わる機密情報の塊の場合もある。
だから入っちゃいけないと言われたところに入るのは、とても大変。
「電話を誰が取ったとか、その時の社長が誰だったかとか、結局、OKする人が前向きな時はいいんですが、同じ場所に電話をしてもいい時もあれば悪い時もある。
担当者が優しいか怖いかで何が撮れるかどうかが変わります。それは運です」(西澤・以下略)
撮影許可が下りたからといって、何でも撮っていいわけじゃない。
「取材先で許可をいただいて、OKだったものだけを発表しています。ダメだったものは忘れることにしています。覚えていると恐ろしいので、忘れることにしています」
危険が伴う場所も多い。
「溶鉱炉の撮影で、工場の全景を撮るのに80mぐらいの高さまで登ったんですが、柵はありますが、風が強い。揺れているので三脚は立たない」
高所恐怖症には耐えられそうにない現場だ。それでも行くのは、そこに見たことない風景があるから。
「製鉄所に行った時は、見渡す風景のすべてが鉄サビの茶色で、日常生活では見ない異次元の風景でした。そういう風景を撮りたいんです」