【『決してマネしないでください。』完結記念インタビュー】 最終回 女性はあなたが対象外でもランチには行ってくれるから(全3回)
あまりの情報密度に圧倒される『決してマネしないでください。』(講談社)。異様にIQの高いマンガの作者に話を聞く最終回。
スポンサーリンク次のテーマのひとつは法律
「くっつきたいと思っている人がいたら、その人ごとに攻略というか大切にすべき部分がありまして」
なんでしょう?
「たとえば犠牲的な人、結婚したらあなたのために仕事をやめるわというタイプの人とくっつきたい人は、その犠牲的な精神を評価してあげる、自分も何かしら犠牲を差し出す、それが効果的かと思います」
??
「犠牲的なタイプの人は、愛情のために犠牲を払うことを美徳と感じている。私はあなたのために会社をやめた、そこを評価して欲しいんです。そこを当たり前扱いされると哀しい」
愛のためにあなたは何を犠牲にできますか? ということですね。
「差し出す側の例としては、君のためにこんな時間を使ったよ、こんなお金を使ったよ、とか」
犠牲が愛なんだ。
「愛が犠牲な人にとっては、です。何が大切かは人それぞれで、気遣いができる女性は、なんで気遣いができるかというと、一生懸命努力しているわけですね。なぜ努力するかというとそれが良いことだと思っているからなんですよ」
なるほど。
「そういう相手に、自分が気遣いができないのであれば、何ができる? と聞いてあげればいいんですよ。聞くことが気遣いなんですよ。
気遣いができる人には気遣いをすればいいんですよ。それからありがとうの一言を。ほめてたら伸びますから」
理系の男性諸氏の場合、ほめるポイントがズレそうですけどね。理系が女性とうまく話せないのはなぜだと思います?
「理系の方は正確性を求めてしまいますよね。研究者じゃない方は、“だいたい”が知りたい。でも研究していればいるほど正確に伝えようとします。
誤解があってはいけませんから。するとワード数が非常にいります。どんどんワード数が増えて、相手の聞く気が失せる」
取扱説明書のジレンマですね。丁寧に説明すればするほど、呪文になっちゃう。
「最初は、たとえ話を使って、簡単に何となくざっくり話をするといいんじゃないでしょうか」
それでは間違った結論にたどり着くとか言い出しそうですけどね。
「私自身も課題なんです。ずっと勉強マンガを描いてきて、勉強すればするほどもっと正確に書きたくなる。
でもそこまでは求めていないんですね、多くの読者は。だから、そぎ落とす。私はコピーライターだったので、それが役に立ってます」
『決してマネしないでください。(3)』(蛇蔵/講談社 税込605円)。
公式サイト:http://morning.moae.jp/lineup/380
3巻収録17話試し読み
1万ワードの論文を10文字にまとめる仕事? すごいな。
「怖いですよ。どこをピックアップしてどこを省略するかは非常に問題で、そのために監修の方がいます」
監修の方って……ニュートンが好き過ぎてイタリアに留学? ラテン語で科学者の格言集を出したい? ……決マネのキャラみたいな、ああ、この人のモデル。納得です。
今後のご予定は?
「勉強マンガを続けていこう思っていて、色々予定があるのですが……、次のテーマのひとつは法律です。
最低限、自分の身を守るために知っておきたい法律の知識をギャグマンガ仕立てで、勉強にもなるしやさしく読めるみたいな。少しでも読んだ方のお役に立てるマンガになればいいなと思っています」
驚異的な読書量と取材能力で、前人未到の大人向け学習ギャグマンガという新ジャンルを切り拓いている蛇蔵先生。どんな法律マンガを描かれるのか、実に楽しみです。
取材・文 川口 友万
【了】