オシッコ発電に羽根のない風力発電! 脱原発の切り札はどれ?

もうすぐ全面解禁となる電力自由化。原発再稼働が進まない中、より安価で安全なエネルギー源を追い求める日本の、近未来エネルギーにせまる。

工樂真澄| Photo by Getty Images

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“差”があるところに電流は流れる

 電気というと家のコンセントから出てくるのが当たり前で、大きなプラントがないと発電なんてできないと思い込んでいないだろうか。

 そもそも電気とは電子の流れで、極端なことを言えば温度が異なる水を用意するだけで電流を作り出すことができる。これは「温度差発電」といい、ゼーベック素子という半導体の性質によるもの。


Horizon FCJJ-38温度差実験キット

 ほかにも「果物電池」では、レモンやミカンに種類の違う金属を突っ込むだけで電流が生まれる。「炭電池」は備長炭にアルミとティッシュを巻いて塩水に浸すだけ。

発電
地磁気力発電機
【写真提供:株式会社島津理化】

 さらにいえば地球は大きな磁石だから、北極と南極を結んで磁力線が通っている。これを横切るように磁場を起こすだけで起電力が生じる。これが「地磁気発電」だ。

 これらはさすがにそれほど大きな電力が作れるわけではなく商品化とまではいかないが、小中学生の科学工作程度の手間と知識でできる。

 簡単ながらすでに商品化しているのが「携帯型燃料電池」。原理は中学校で習う「水の電気分解」だ。少しの水をいれるだけで電流を発生させることができ、非常用の充電器として使うことが出来る。


myFC PowerTrekk – How It Works: Off Grid (HD)

 ちょっと変わったところで「オシッコ発電」はイギリスから。

 学生たちが集まるバーの外に置かれた簡易トイレは、尿で発電した電気で明りを灯すという優れもの。尿を集めるタンクには微生物が入っており、有機物を分解する。

発電
Pee-power toilet to light up disaster zones
【写真提供:Reuters】

 そのとき同時に発生する電子を利用して発電するという仕組みだ。開発者は難民キャンプなどのトイレにこの技術を生かしたいそうだ。

 今や他人任せではいられないと、オフグリッド生活(電力会社の送電網に頼らず電力を自給すること)に足を踏み入れる人も増えてきた。

 値上がりする一方の電力会社に愛想を尽かし「電力は自給するものだ」という時代が、いずれやってくるのかもしれない。

参考
チャレナジー http://challenergy.com/
新エネルギー財団 http://www.nef.or.jp/index.html

取材・文 工樂 真澄

【了】

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