「ダメ。ゼッタイ。」大麻が神経をむしばむメカニズムを解明!

違法薬物への入り口としてハードルが低い「大麻」。鎮痛作用があることから医療用大麻擁護論が絶えないが、副作用は決して小さくなさそうだ。

工樂真澄| Photo by Getty Images

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大麻はアルツハイマーに効果あり?

大麻
タバコよりも害が無いと主張する声も
【写真:Getty Images】

 またもや違法薬物使用で芸能界から逮捕者が出た。

 一時の気を紛らわすために一生を棒に振るのはどうかと思うが、薬物の誘惑は一般人にとっても決して他人ごとではない。中でも大麻はハードルが低く、海外の合法地域ではタバコに近い感覚で嗜好すると聞く。

 日本では大麻取締法により禁止されており、たとえ研究目的であっても使用には厳しい制限がある。

 ちなみに日本国籍を持つ者が海外で大麻を使用した場合、日本の法律で罰せられる可能性は皆無ではない。夏休み、外国だから、とハメを外すのもほどほどに。

 そんな非合法の麻薬である大麻だが、痛みを和らげる、炎症を抑えるなどの効果が認められることから、医療効果があると話題になっている。すでに欧米では医療用大麻の認可が始まっており、日本でも医療用大麻の合法化を掲げて選挙戦を戦う者まで出てきた。

 大麻の有効成分は、カンナビノイドの一種である「テトラヒドロカンナビノール(THC)」。大麻なんか吸わなくても、体内にはもともといくつかのカンナビノイドが存在しており、脳の活動に重要な役割を果たしている。

 カンナビノイドは神経細胞の「受容体」に結合して活性化するのだが、THCも形が似ているためその受容体に結合してしまう。大麻を吸うことで得られる「多幸感」は、このような神経細胞の働きによるものだ。

 最近、アルツハイマー病の発症要因とも言われる「アミロイドβ」が、THCによって効率よく取り除かれることがわかった。

 アミロイドβは神経細胞から放出され、本来は神経細胞の機能を調節している。ところが老化などによって供給過剰になると、塊になって神経細胞を壊してしまう。

 研究では、脳由来の培養細胞にアミロイドβを発現させたところ、数々の炎症を起こす物質が分泌された。ここにTHCを与えると、これらの炎症物質の分泌が抑えられ、またアミロイドβの凝集も消えたのだ。

 つまり、大麻でアルツアハイマーが治る?

 生体内でも同じ効果があるかどうかは今後の研究待ちだが、増加するアルツハイマー病患者を見込んで、もし本当に効果があるとすれば、日本でも医療用大麻の是非が議論される日がくるかもしれない。

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