【食べる科学実験】 バカか? 天才か? 超絶炭酸製造器『キリツボ』爆誕! (前半)
これは何? 謎のマシン『キリツボ』。パイプが結合した妙な器械の正体は炭酸ガス製造装置だった!
スポンサーリンク特許取得のフィルターで実用化
問題はパイプである。ペットボトルをうまくつながるような市販品は売られていなかった。
「うまく行くかどうかもわからないですから、最初は市販品で無理やりやったんです。T字型のものとか普通のパイプとか売られている金属配管をつないで、ペットボトルをつなぐキャップはポリプロピレンを融着させて、タップで穴をあけて」
それで一応はできたが、問題はクエン酸と重曹の反応である。水と混じった瞬間に反応が始まってしまうため、パイプにペットボトルをねじ込む間に炭酸ガスの大半が失われてしまう。
だからパイプにねじ込んだ状態から反応を起こさなければいけないが、方法が思いつかない。
「パイプに穴をあけて注射器で入れてみたりしたんですが。それで現在のフィルターになりました」
言うのは簡単だが、こういうシンプルなことを思いつくまでが一番難しい。
― 今のフィルターになるまで、どのくらいかかりましたか?
「半年ぐらいでしょうか」
簡単に言うが、半年だ。半年間、ずっとひとつのことを考え続けるなんて、そうそうできることではない。すでに特許も取得済みだそうである。構造上、パイプが目立つが、『キリツボ』の肝はフィルターなのだ。
パイプは市販のものがないために海外の会社に発注、その途中、世界中の配管製造メーカーを調べたために、今では特殊な配管パイプの輸入販売会社も経営している峯村氏。
ひょうたんからコマというか、何がどうなるかわかったものではない。
ではさっそく、『キリツボ』を科学実験酒場で使わせていただく。
原理上、液体であれば何でも炭酸化できる『キリツボ』だが、乳製品に炭酸はほとんど溶けないらしい。また溶けるのは水分なので、度数の高い酒には溶けにくいらしい。ウィスキーをそのままハイボール化しようと思ったが、そううまくはいかないのか。
なにはともあれ、使ってみるのが肝要である。ジュースにアイスコーヒー、ウィスキーに焼酎、ワイン、なんでも炭酸化してみるのだ。
取材・文 川口 友万
【後半へ続く】