【食べる科学実験】 バカか? 天才か? 超絶炭酸製造器『キリツボ』爆誕! (前半)

これは何? 謎のマシン『キリツボ』。パイプが結合した妙な器械の正体は炭酸ガス製造装置だった!

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi|シリーズ:食べる科学実験

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よくこんなものを! 理系なら必ずうなるマシン『キリツボ』

キリツボ
これが炭酸製造装置『キリツボ』だ。キリンのお面はキリツボにかけたダジャレである
<アマゾン>
【写真:川口友万(以下同)】

 なんだこりゃ?

 昔のSFに出てきそうな奇妙な装置である。どう見ても実験機器だ。偶然、アマゾンで見つけたのは水道管みたいな塩ビのパイプにペットボトル、メーターに開閉弁。

 とても製品として販売されているようには見えない。これが『キリツボ』。れっきとした商品であり、炭酸を自宅で作る、ソーダ発生器なのだ。

 炭酸水を自宅で作る装置は、一般にはソーダサイフォンといい、炭酸ガスが封入されたボンベを使う。専用の機器でボンベの中の圧縮された炭酸ガスを水の中に噴出させて、炭酸水にするわけだ。

 しかし『キリツボ』は違う。ボンベがない。ボンベを使わない。じゃあ炭酸をどうするのか? 発生させるのだ。

 理科でクエン酸と重曹を混ぜたら、二酸化炭素=炭酸ガスが出るという話を聞いたことがないだろうか? あるいはグレープフルーツに重曹をかけるとシュワシュワと泡立って、酸味が減るという話?

 クエン酸と重曹を混ぜて、水分を加えると炭酸ガスが発生する。そして中和するので、酸味が飛ぶ。

キリツボ
炭酸専用のペットボトルを2本用意、炭酸ガスの発生側には特許出願中のフィルターをセット、ぬるま湯を注ぐ。一方、炭酸水を作る側には冷水を入れる

 ソーダサイフォンは、プリンターがインク代で儲けるのと同じで、ボンベ代で延々と儲ける仕組みだ。

『キリツボ』の場合、クエン酸と重曹はスーパーならどこでも売っている。100円ショップなり薬局なりで買えば、原価は限りなく安くなる。

 では炭酸にするスペックはどうなのか? 圧縮してあるボンベの方が、強力な炭酸ができそうな気がするが、そこはどうなのか? 勝てるのか?

 勝てるらしい。市販のおよそ1.3倍の炭酸ガスを含む、超炭酸水ができるというのだ。

 以前、あの、名前を知っているのが紳士のたしなみ、『TENGA』の松本社長にお会いした時、その発明家魂にものすごく感動した。人生を賭け、工学知識を総動員し、地球生誕以来最強のオナグッズを作り上げた情熱。

 『キリツボ』には同じ匂いがする。アントニオ猪木が言う、「馬鹿になれ」の馬鹿、それが熱く脈打っている。馬鹿にしか、常識も限界も破れない。馬鹿は、サイエンスに触れるすべての者への、最高の称号である。

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