ソファにでだらだらビール飲みつつ、国内旅行 バーチャル旅行システム『不思議な酒場』

5月14、15日、東京・鮫洲でメディアアート作品『不思議な酒場』が発表された 。タイトルに釣られて、参加した。

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi

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あの、シチリアで食べたあさりのスパゲッティの体験を!

レストラン
樋口敬洋氏
高級イタリアンの名店サローネグループ エグゼクティブシェフ。シチリア島での修行より帰国後、都内イタリアンの料理長を経てサローネ立ち上げに参画。旗艦店となるサローネ2007(横浜)は「食べログ ジャパンレストランアワード2016」にてイタリアン全国一位に輝く。
【写真:川口友万】

 なんであれ、最初はこんなものだろうと穴倉から出る。最初からライゾマティックスみたいなことができるなら、世の中の女の子はみんなパヒュームである。

 樋口氏に話を聞く。

「私は『あさりのスパゲティ』というとシチリア島の断崖絶壁のレストランで食べたスパゲッティを思い出すんです。

 下から海の香りが上がってくる、店の中は厨房から溢れたニンニクやオイルの香りでいっぱい、体験そのものが味の記憶なんです」

 そうした食の体験を自分で店でもやりたいと樋口氏。完全にコントロールされた時間を提供したいという。

「視覚的なイメージで味は変わりますが、口に入れるまでは香りです。香りで世界に引き込まれ、香りでじかに記憶がよみがえる。

 香りは自分だけの体験です。そうした料理に関する体験をより深く脳に刻み込むにはどうすればいいか?」

 そのためにメディアアートとの連携を模索したのだそうだ。

レストラン
『不思議な酒場』ができるまでのトークライブも行われた
【写真:川口友万】

「私が理想とする体験を提供している店はイビサ島のレストランがすでにやっていたんですが、価格が1人21万円。それに見合ったものを提供することは無理です」

 食とメディアアートの融合で、新しい体験をプレゼンテ―ションするという発想は面白い。21世紀のレストランはどうなるのか? 

 今ある科学技術はどのような食体験を生み出しえるのか? 想像すると面白い。

取材・文 川口 友万

【了】

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