米国でも深刻なモラル低下 食品業界の闇をDNAが暴いた
「ハンバーガーに怪しい肉が入っている」と囁かれる有名都市伝説に最新科学が切り込んだ。その結果、都市伝説よりも恐ろしい食品業界の深刻な問題が判明したのだ。
スポンサーリンクあなたの食べたハンバーガーは、本当に牛肉なのか? アメリカの調査で、ネズミや人間のDNAが混入したハンバーガーが発見されたのだ!
アメリカのクリアラボ社が、22の店が販売する79ブランド、258個のハンバーガーについて、ゲノムの解析を含む複数の分析テストを実施した。
ハンバーガー258個のうち、13.6%で問題が発覚、さらに、ラベルに表示されていない原料のDNAが16個(全体の6.6%)のバーガーに含まれていたのだ。
同社はソフトウェアエンジニアとゲノム科学者らが、食品の安全性を追求するために2014年に設立した研究機関である。
検査の対象となったのはファストフード店の商品やスーパーで販売されている冷凍食品。これから驚くような事実がいくつも判明した。
たとえばベジタリアンバーガーと書かれたバーガー2個からは、牛のDNAが検出。別のビーフバーガーにはターキーが含まれていた。
またあるブラックビーンバーガーには、なんとブラックビーンが全く含まれていなかった。これでは何のための成分表示なのかさっぱりわからない。
そして11個(4.3%)からは食中毒の原因となる病原菌のDNAが見つかった。4個は一般に食中毒のリスクが低いとされるベジタリアンバーガーで、1個は有名ファストフード店のものだった。
DNAから判別できたのは、エルシニア感染症を引き起こす仮性結核菌、ソブリア感染症を起こすエロモナス・ハイドロフィラ菌、ウェルシュ菌、クレブシエラニューモニエ菌(肺炎桿菌)だった。
大腸菌はDNAではなく、病原体そのものが見つかった。なおDNAの分析では生きた細胞か、死んだ細胞かの判定はできなかったという。
また、全体の1.6%とわずかだったとはいえ、製造過程の衛生管理に疑問が生じるバーガーもあった。3個からネズミのDNAが、1個の冷凍ベジタリアンバーガーからは人間のDNAが検出されたのだ。
人のDNAというのはおそらく髪の毛や爪、あるいは皮膚が誤って混入したものとクリアラボは推測している。人間の肉入りバーガーではなく、衛生管理の問題ということだ。
カロリー表示についても、ファストフード店の47個中38個はメニューの表示カロリーよりも実際のカロリーの方が高かった。しかもうち12個については、驚くことに100カロリー以上オーバーしていたという。
体重が気になるとカロリーをチェックしても、その表示がインチキでは何を信じればいいのか。
今回の調査で発覚した問題について、「米食品医薬品局(FDA) の検査を通過する範囲だろう」とクリアラボは述べており、人体に害をもたらすレベルではないようだ。
同社は「食べても健康に害はない」としているが、気持ちのいいものではない。
一方で、「大腸菌やサルモネラ菌の食中毒が注目を集めがちだが、今回検出された菌も食中毒のリスクが非常に高い。
DNAの生死は確認できなかったが、これらあまり知られていない菌の検査も徹底すべき」と主張している。
今回調査対象となったのはごく一部の食品だ。他の食品にどんなごまかしやインチキがあるのか? 日本のメーカーは? ……不安が増すのである。
取材・文 岡 真由美
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