VERBAL、中川悠介、川田十夢がエンタメビジネスの未来を予見 テクノロジーで表現は拡張する
CDが売れなくなった音楽業界。テクノロジーは音楽を救い、未来のビジネスモデルを提示できるか。
スポンサーリンクテクノロジーは音楽から枠組みを取り払う
CDの売り上げに伸び悩む、今の音楽業界。しかし、ライブエンターテイメントは進化を続け、ビジネスモデルは大きく変化した。映像、音、光といったデジタルテクノロジー技術が演出に活用され、アーティストの表現を拡張させたのだ。
G7茨城・つくば科学技術大臣会合を記念して5月14日に開催されたJ-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2016。
「エンターテインメントビジネスの未来予想図」では、音楽プロデューサーでデザイナーのVERBAL氏がモデレーターを務め、芸能事務所アソビシステム代表 中川悠介氏、ARアプリを開発しアーティストともコラボレーションするユニットAR三兄弟の川田十夢氏が、エンターテインメント業界の未来について、それぞれの立場から語った。
「CDの売り上げは落ちていても、各地でフェスの開催が増えている印象です。
また、フェスは空間や演出を体感することが思い出になるため、ネット配信では得られない体験ができます。だからライブエンターテイメントの需要が高いのではないでしょうか」(VERBAL)
「ネット配信やストーリーミングサービスも便利ですが、技術が進化していき世間に浸透していくと、コンサートといったリアルな体験ができるものの良さが再認識されてくる印象です。
リアルなものといえば、近年コレクター心をくすぐるアナログレコードのセールスも伸びています」(中川)
現在の音楽業界には多様なビジネスモデルが登場している。
一つの企業がアーティストを囲い込むのではなく、クライアントと組んで相乗効果を狙ったり、SNSで作品を自由に拡散させる方法がとれるようになった。
中川氏は、動画配信サービスが登場したことで、プロモーションの形も変わったことも指摘した。
「たとえばケイティ・ペリーがツイッターで、きゃりーぱみゅぱみゅのデビューシングルのPV動画をツイートしたことで拡散され、話題になりました。
5年前、日本にユーチューブが出てきてから、アーティストは作品自体が評価されるようになりました。
動画やSNSを通して、価値があるものが世間に広まっていくことに無限の可能性を感じました。ITのすごいところはそこです」(中川)
「海外では、ジャスティン・ビーバーがスナップチャットで『髪型を変えた』っていうだけで、どっと広まったりします。
タイムリーな感じを演出するのがうまいですよね。日本は、SNSを告知に使うことが多くて、セルフプロモーションをするアーティストが少ない気がします」(VERBAL)
「日本はまとめることが好きなんじゃないでしょうか。インスタグラムのフォロワーが多くいる子は、常に自分たちで新しいものを見つけて発信しています」(中川)
中川氏は、海外と違い音楽が、ファッションや他のカルチャーとカテゴライズされ、分けられてしまっていることも合わせて、日本の特徴として挙げた。
新しいシステムを構築するクリエイターと、エンタメ業界がジャンルに横断してリンクすることで、新しい文化が生まれると、語った。