砂糖をまぶすとレーダーから消える? 未来の戦闘機はチョー甘口で
戦闘機にスプレーするだけで敵にみつからないという、夢の物質が見つかった。このまま開発が進めば、空中戦に革命が起きるかもしれない。
スポンサーリンク現代の空中戦闘でもっとも重要なこと、それはレーダーに映らないことだ。レーダーに映らなければ、敵もミサイルを当てようがない。
そこで戦闘機にはステルス性能が重要視される。電波吸収素材で戦闘機を覆ってしまうのだ。レーダーはレーダー波の反射で敵の位置を見つけ出すから、反射がなければレーダーに見つからない。
現在使われているセラミックス製の電波吸収素材は価格も高く、既存の戦闘機にスプレーすればステルス性を発揮するかといえば、そうもいかない。
もし原材料費が安く、スプレーするだけで戦闘機がレーダーから消える塗料があれば、それこそ戦闘における革命だ。
そんな夢の物質が見つかった。「スクロース」、つまり砂糖である。
とはいえ、ただ単に機体に砂糖をまぶせばいいというわけではない。
今年1月5日に応用物理学の専門誌「アプライド・フィジクス・レターズ」に論文を発表した、ベラルーシ国立大学の研究者は、バイオポリマープラスチック製の小さなビーズをスクロースでコーティング、高熱を加えてバイオポリマープラスチックを破壊すると、同時に砂糖を炭化し内部が空洞の球体を作り出した。
炭になった砂糖のビーズ玉を大量に作ったわけだ。
この小さな球体を機体の表面にびっしり並べてコーティングすると、軍が使用する周波数26~37ギガヘルツのKaバンドのレーダーをほぼ完全に吸収し、形のない真黒な物体としてしか映らなくなるという。
ちなみに太陽の光のもとでは、100パーセント反射光を防止する働きがある。
球体のサイズと配置がポイントで、半径6ミリ、外の部分の厚みが5マイクロメートルの球体が、もっとも効率よくレーダー波である波長が7.5~10ミリのKaバンドのレーダーを吸収する。
特に30ギガヘルツ帯では95パーセント以上吸収するという。
球体を、六角形のハチの巣のように並べると、吸収率が最大限になる。科学者らによれば、この配列は蛾の複眼を模倣したものだという。
蛾の複眼の表面には、六角形の突起(個眼)が均一の間隔で規則正しく並んでいる。外から入ってくる光を何度も屈折させて取り入れることにより、光を目の外に反射させない仕組みなのだ。
蛾の複眼と同じように、砂糖でできた球体を六角形に規則正しくジェット機の表面に並べれば、レーダーをかいくぐることができるというのである。
論文を紹介したデイリー・メイルによれば、中国の華中科技大学の技術者らも、レーダーを吸収させることで映りにくくする素材を開発したと発表しているそうだ。中国も砂糖の秘密に気が付いたのだろうか?
四足の動物で食べないものは机だけという食いしん坊国民だけに、飛行機の塗装をなめて食べてしまうんじゃないかと少し心配。
将来レーダーでは、戦闘機の位置を把握しにくくなるかもしれない。
取材・文 岡 真由美
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