【月刊ムー編集長 三上丈晴 VS と学会重鎮 皆神龍太郎】 第1回「ムーの読者は、ムー読んでるって言わない」 (全3回)
月刊ムー編集長の三上丈晴氏とトンデモ本を批判的に楽しむ団体「と学会」の皆神龍太郎氏のビッグ対談! まるで知られていない、ムーの裏側を暴露!
スポンサーリンク科学とオカルトは横並び
皆神龍太郎
疑似科学ウォッチャー。東京工業大学物理学科大学院修了。と学会運営委員。ASIOS会員。最近では江戸時代にUFOが漂着した事件とされる『うつろ舟』事件の真相を解明し、注目された。
【写真:谷口雅彦】
皆神:当時、売れた本の代表で言えば、工作舎が出版した『タオ自然学』あたり。道教のタオと素粒子論が直接結びつくといったような考え方が持てはやされた時代で、松岡正剛率いていた工作舎なんかがその手の本を多く出していた。
三上:工作舎の本かっこよくてなぁ~、買った買った。
皆神:工作舎は先鋭的な『遊』という雑誌を当時出していたんだけど、その最終号には「遊人」とか言ってボクの名前もちょっと載ってたりするの。
三上:そうなの?
皆神:やっぱりね、カウンターカルチャー系なんですよ。科学技術に行き詰まり感が出てきて、科学の進歩は単なる善じゃないとみんなが気が付きだした。
宗教とか哲学とか民俗学とか、色んな知恵を寄せ集めることで、科学を超えたもうひとつの何物かの創造を目指すって感じの時代精神だったなぁ。
カウンターカルチャー系の時代背景のなかで、ムーは創刊された気がする。
三上:みんなUFOとか超能力とか一括りにしちゃうから。この一括りにされている現象の中に、まだ未知なる現象があって、それを分析すればこれまでの体系がもうひとつ拡張される。そういう可能性はあると思うんだよね。
皆神:UFOの研究でも、すべてが科学的価値がないというわけでもない。たとえばノルウェーのヘスダーレン村に出てくるという謎の光球。あれ、なんかはいまだに正体がよくわからない。
三上:太陽の表面部分の温度くらいあるのが飛んでくる!
皆神:人々がオカルトに惹かれることと、先端科学に興味を持つことの間には、あまり大きな差がないんじゃないのかな。
やや退屈して暮らしている日常の生活とは異なるような、もっとドキドキワクワクするような何かがそこにあるといった期待と夢が、先端科学やオカルトに人々が惹かれる根底にはあるんだと思う。
三上:学研で前『ウータン』って科学雑誌があったんだけども、そのうち超能力とか取り上げるわ、日本のピラミッドは取り上げるわ、いつのまにか同じ会社の中でムーと競合誌になっていたというね。
皆神:科学とオカルトは、ある意味、互いにすぐ横にあるような存在だから、割とすぐ移行できるんですよ。
三上:社内では『ウータン』じゃなくて『ムータン』だって言われてた。で、ある時、編集長が変わってまともな科学雑誌に戻したら、一気に売れなくなっちゃった。その後、休刊になっちゃいましたけどね。
皆神:だいたいね、科学雑誌がオカルト特集とSEX特集をやりはじめると終わりが近いと言われているわけ!
三上:『クオーク』もね。
皆神:「SEXの科学」なんて盛り上げようと思ってやったら平気で盛り下がってしまって、ハイ終わり。
三上:劇薬だからねぇ。