【月刊ムー編集長 三上丈晴 VS と学会重鎮 皆神龍太郎】 第1回「ムーの読者は、ムー読んでるって言わない」 (全3回)
月刊ムー編集長の三上丈晴氏とトンデモ本を批判的に楽しむ団体「と学会」の皆神龍太郎氏のビッグ対談! まるで知られていない、ムーの裏側を暴露!
スポンサーリンク読んでいることをひた隠すムーの読者
1979年創刊、長寿雑誌である『月刊ムー』
日本内外のオカルト・スピリチュアル情報はすべて同誌編集部に集まってくる
【写真提供:月刊ムー】
皆神:イギリスに『フォーティアン・タイムス』っていう老舗のオカルト専門誌があるんだけど、あれを読むと、歴史の古い英国という国とオカルトの関わりの深さみたいなのが見えるんだよね。
日本だとオカルト雑誌というとムーだけど、ムーはね、明らかに編集者のほうが一般読者に勝って作っている。でも『フォーティアン・タイムス』の場合は、読者のほうが編集者に勝ってたりもするわけ。
三上:だって、『フォーティアン・タイムス』は内容が薄い(笑)。
皆神:薄いけどね。でもすごい雑誌。知的教養の大変に高い英国のジェントルマンたちが、オカルト雑誌である『フォーティアン・タイムス』を読んで、感想を投稿したりしているんだけど、読者欄を読むと、記事の間違ったところとか的確に指摘したりしてるの(笑)。
三上:正しいあり方ですね。
【対談した店】
『フロム・ロンドン・カフェ』
東京都 目黒区目黒本町4-3-14 コレクションハウスビル
ロンドン直輸入のアンティークに囲まれたシックな店。2階ではバー『TARUHO』が日替わりイベントを開催中。本サイトも関係する『科学実験酒場』は日曜日のみ開催。
【写真:谷口雅彦】
皆神:だからムーもね、もうちょと読者のレベルが高くなって、さらに「大人のオカルト雑誌」になってくれるとうれしいんだけど(笑)。オカルトって、ある意味、教養でもあるから。
三上:ムーの読者の人っていうのは、そもそもムー読んでるって言わないからね。隠れキリシタンみたいな。普通に言うのは、福山雅治くらいだよ。
皆神:でもムーを雑誌の頭からケツまで読んで全部理解できる人って、ものすごく教養が高い人だと思うよ。
歴史あり、科学あり、地理、民俗学、考古学、宗教学とかなんでもアリだから。結構レベル高いし難しいよ。三上さんは全部理解してから原稿通してます?
三上:漢字が並ぶとキツい。あと神々の名前とか、日本書紀と古事記で統一しろよって(笑)
皆神:ムーをバカにしてる人たちって、ちゃんと全部読んだことのある人って多くはないと思う。全くのヨタ話と、かなりまもとな記事が実はゴッチャに詰まっている。まともな記事は意外にまとも。
でも、「ではないだろうか」「とも考えられる」的な強引な書き方で無茶な結論へと引っ張るヨタ記事も多くて、それらをちゃんと読み分けられるって、並大抵の教養じゃないと思うな。ムーの読者って、ヨタのとこばっかり本気になって読んでる気がするけど(笑)。
三上:いいんです、それで!
皆神:たしかに、読み方はそれぞれ読者まかせですけど。
三上:たまにまっとうな歴史ものとかやると、お叱りの電話があるの。長年の読者なんだけど「今月のムーは面白くない!」っていきなり電話口で怒鳴ってんの(笑)。
「空海なんかやって全然面白くないじゃないか!」
「すいません。では参考までにどういった記事、といいますかネタが……」
「君たちは知らないと思うが、火星にはもう鉄道が敷かれてるんだ!」
皆神:あははは!
三上:それ、読みたいじゃないですか! でも聞いたら、「研究段階だから世に出せない!!」
皆神:火星の銀河鉄道! 運河から鉄道かぁ(笑)。火星も進化してるなぁ。さすがはムー!!
取材・文 川口 友万
【了】