【『決してマネしないでください。』完結記念インタビュー】第1回美大出身のマンガ家が理系コメディを描いたわけ(全3回)

理系学生の間で人気沸騰のマンガ『決してマネしないでください。』(講談社)3巻が2月23日に発売。完結を記念して作者インタビューを行った。

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi|シリーズ:『決してマネしないでください。』完結記念インタビュー

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エンターテイメントを教える授業に感動

 理系は奇人変人の集まり(大筋では間違っていないけど)だと思われかねない『決マネ』だが、その根本にあるのは蛇蔵さんの理系愛(?)だ。

「好きだと思うところをキャラにしているんです。変わっているところを描いているところも、『そんなところが好き!』と思って描いています。イヤだと思ったところは書いてないですね」

 執筆にあたっては、書籍はもちろん、論文やネットの動画にもあたっている。

「何もかも取材で出てきたとか本にあったということはあまりなくて、本を読んだり、みなさんのあるあるネタを聞いて、(そういうことがあるなら、こういうこともあるだろう)と想像して描いて、監修の方に見ていただきました」

 とにかくセリフの中に数式や物理用語がバンバン出てくる。編集者泣かせのマンガである。

蛇蔵
【作:蛇蔵】

蛇蔵
ゲーム会社にてコピーライター兼デザイナーとして勤務後、独立。フリーライター兼イラストレーターの時代を経て、絵と文を同時に書けばいいのではと遅まきながら気付き、漫画家の道へ。
著作に『日本人の知らない日本語』、『日本人なら知っておきたい日本文学』(共に海野凪子と共著)など。

「おかげで動画をいっぱい見るようになって、変な英語をいっぱい覚えました。

 ハイドンロジェンペロキシサイド(=過酸化水素)とかシクロペンタンとか。シクロペンタンって英語だとサイクロペンテンって言うんですよね。一生使わないって、こんな単語!」

 大学以外にも理化学研究所で加速器の見学をしたり、ロボットを見に行ったりと取材が多い。

「東工大のロボット技術研究会の部室には随分長い間お邪魔しました。

 東大のメカトロニクス演習という、こちらもロボットのコンテントをされているんですが、授業の中でウケとかエンターテイメントを教えるんです。

 使う側の視線で、どうやってユーザーに技術を楽しませるか、その視点で授業を行っている。

 教育として、エンターテイメントを教えることは非常に素晴らしいですし、学生はみんな真面目にがんばってきた子たちですから、彼らが面白さを学んでいくことに、とても素敵な未来が待っている気がします」

取材・文 川口 友万

【第2回に続く】

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