翼の形を自在に変えて効率アップの次世代ドローン 発想のヒントはコウモリから
活況をみせるドローン市場。現在の主流はいくつものプロペラが回転して浮くタイプだが、コウモリのように翼を伸び縮みさせて飛ぶドローンの開発が進んでいる。
スポンサーリンク英サザンプトン大学およびインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らが、コウモリからヒントを得て、電流が流れると変形する電気活性ポリマーを素材とした小型ドローン(通称MAV、マイクロ・エア・ビークル)用の「翼」を開発中だ。
電圧をかけてポリマーを硬くしたりやわらかくしたりして翼を変形させ、飛行中の空力特性を変えることでエネルギー効率の高い飛行が実現できるという。
小さいものでは翼幅が15センチ程度しかないMAVは、遠隔地や危険地帯の調査などで官・民を問わず幅広い場面で採用されつつある。
最近のトレンドのひとつは、鳥や昆虫など自然界の生物からヒントを得て、より高性能かつ飛行距離の長いMAVを開発しようという動きだ。
両大学の研究チームは、哺乳類で唯一完全な飛行が可能で、飛膜と呼ばれる伸縮性のある膜でできた翼を持つコウモリに着目した。
動画:Wing In Ground UAV with membrane wings Robert Bl
チームはコウモリの翼の動きを分析し、同様の動きをするようコンピューター制御した人工の翼を開発。その翼を搭載した幅50センチの試験用ドローンを、海上すれすれで飛行させる実験に成功した。
研究所内で繰り返し行った風洞実験でも、翼は問題なく変形できたという。なおこの翼には特殊な機械部品は一切使われていないため、ドローンにとりつけるのも簡単だと伝えている。
両大学によればコウモリ型翼を搭載したドローンは、早ければ今後5年で市場に登場する見通しという。研究成果は2月18日にサザンプトン大学のWebサイトで公開されている。
取材・文 岡 真由美
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